介護療養廃止6年延期を了承/介護保険改正案で民主部門会議
介護療養病床の廃止を2012年3月末から6年間延期することなどを盛り込んだ「介護保険法等の一部を改正する法律案」について、民主党の厚生労働部門会議は2月23日、厚生労働省から法案の説明を受けた。出席議員から異論はなく、政府は3月、法案を閣議決定し今国会に提出する方針だ。
法案では、将来的に介護療養病床を廃止する方針は変えないものの、今ある介護療養病床に6年間の猶予期間を設ける。12年度以降は介護療養病床の新設を認めない。猶予期間の間に介護報酬など必要な支援策を設けて、老健施設などへの転換を進める。
厚労部門会議の足立信也副座長は会議終了後の会見で「療養病床は医療保険と介護保険の両方に関わってくる。両方の報酬改定があるタイミングでないと整理できない」と述べ、6年延期することによって、転換を促すための支援策を12年度と18年度の2度の同時改定で対応できると評価した。法案の審議について足立副座長は「与党内では、介護保険法を参院で先議することになっている」と述べた。
今回の法改正では、新たな介護サービスを法律に盛り込んで要介護の高齢者が自宅で暮らせるよう支援する。訪問介護と訪問看護が連携し24時間対応でサービスを提供する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や、1つの事業所が複数の介護サービスを組み合わせて提供する「複合型サービス」を盛り込む。
また、医行為である「たんの吸引」「経管栄養」について、一定の研修を修了した介護職員もできるよう法改正する。社会医療法人が特別養護老人ホームの開設者になることも認める。
法案では、65歳以上の第1号被保険者の保険料の軽減を図るため、基金を取り崩すことを明記する。国と都道府県、市町村が3分の1ずつ出資し、都道府県ごとに積み立てている「財政安定化基金」の一部を取り崩す。地方自治体ごとに積み立てている「市町村準備基金」も一部取り崩す。
●「処遇改善交付金」を介護保険で対応
厚労省の試算では、第4期(09−11年)の第1号被保険者の全国平均の保険料4160円に対し、第5期(12−14年)は5180円程度と大きく上がる。介護職員の賃金に月額1万5000円を上乗せする「介護職員処遇改善交付金」を介護保険で対応することや、高齢化による自然増などが保険料の上昇に影響しているという。このため基金を取り崩して保険料の上昇を抑制する。(2/24MEDIFAXより)