介護改定率2%強で国費500億円/「処遇改善」込みで厚労省試算  PDF

介護改定率2%強で国費500億円/「処遇改善」込みで厚労省試算

 厚生労働省は、介護職員1人当たり月額1.5万円の処遇改善交付金の財源を介護報酬に組み込んだ場合、2012年度改定で2%強のプラス改定が必要となり、国の負担増は年間500億円程度になるとする「制度見直し事項の財政影響試算」をまとめ、11月19日の社会保障審議会・介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大教授)に提出した。この場合、第1号保険料の上昇幅は月額100円程度。一方、処遇改善交付金を現在のまま継続した場合は、国の負担は年間1900億円程度になるとし、介護報酬改定に組み込んだ方が国の負担が大幅に軽減するとの試算結果となった。

 このほか必要な制度改正による国庫負担については、グループホーム家賃助成や認知症コーディネーター配置などの認知症支援に80億円、ユニット型個室の居住費の軽減では横浜市などの取り組みを参考に40億円と試算した。

 また、国庫負担増として▽公費負担割合を6割に引き上げた場合に7400億円程度▽5%の調整交付金の外枠化によって第1号保険料を軽減させた場合に4200億円程度▽30歳まで被保険者範囲を拡大した場合に670億円程度▽補足給付を公費負担化した場合に460億円程度▽地域支援事業の公費負担化の場合に290億円程度―と試算した。

 一方、国庫負担分の軽減措置としては、第2号保険料に総報酬割を導入した場合を試算。総報酬割を2分の1導入した場合は640億円程度、3分の1の導入では430億円程度、国庫負担が軽減できると試算した。

●第5期保険料、月額5200円と試算
 第5期保険料の試算では、必要とされる見直し事項のすべてを次期改定で盛り込んだ場合、全国平均で月額5200円程度になるとした。第4期の全国平均は4160円。介護施設の定員を16万人増やす緊急基盤整備の影響による1000円程度の自然増に加え、第5期で盛り込むべき事項の候補として、処遇改善交付金相当分で100円程度、居宅サービスの充実で15円程度、ユニット型個室の居住費の軽減で10円程度の月額負担が増加する。

 保険料の軽減措置としては、現在約2800億円ある財政安定化基金のうち1600億円程度を取り崩して月額150円程度軽減できると試算。また、今期分を含み総額2800億−2900億円を見込む介護給付費準備基金の一部取り崩しで月額130円軽減できるとした。

 このほか保険料軽減措置の案として、高所得者の自己負担引き上げで月額20円程度、居宅介護支援の自己負担導入で月額20円程度軽減できるとする試算を示した。(11/22MEDIFAXより)

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