介護報酬の地域区分見直しへ/介護給付費分科会が基本合意  PDF

介護報酬の地域区分見直しへ/介護給付費分科会が基本合意

 地域ごとに異なる給与水準を介護報酬に反映するために上乗せ割合を定めている「地域区分」を、次期介護報酬改定で見直すことが決まった。厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会は8月10日に開いた会合で、現行の5区分から7区分へ変更することなどを含む基本方針で合意。具体的な上乗せ割合や、変更に伴う影響を最低限に抑えるための緩和措置を講じるかなどについては今後、2011年秋にも報告される予定の介護事業経営実態調査の結果を踏まえた議論を経て決定する。

 合意した基本方針には、見直しを財政中立に基づいて行うことが含まれており、都市部を実態に合わせて引き上げることが主眼にあることから、相対的には引き下がる地域もある。

 介護報酬の地域区分は現在、特別区、特甲地、甲地、乙地、その他の5区分で、それぞれ15%、10%、6%、5%、0%の上乗せ割合が設定されている。地域ごとの介護報酬1単位単価は、この地域区分の上乗せ割合と、サービスの種類ごとに70%、55%、45%の3類型に分けた人件費率を掛けて算出した分を1単位10円の基本報酬に上乗せして決まっている。

 この日の会合では▽5区分を7区分へ見直す▽2区分は特甲地を3つに分けることで対応する▽自治体の分け方などは基本的に国家公務員の給与手当7区分に準拠する▽財政中立の考え方で格差是正を行う―との基本方針に沿って次期介護報酬改定に合わせて地域区分を見直すことで合意した。

 診療報酬では、2010年度4月から適用されている国家公務員の給与上乗せ手当の7区分に準拠して、給与の地域差が地域加算として1日当たり1級地18点、2級地15点、3級地12点、4級地10点、5級地6点、6級地3点、その他0点として反映されている。一方、2009年度の介護報酬改定をめぐる議論では地域区分の見直しも俎上に上がったものの見送った経緯があり、介護報酬だけ違うことや、地域差の実態に合っていないことなどが常々指摘されてきた。

●見直しに伴う緩和措置の必要性指摘
 今回の基本合意に伴う具体的な上乗せ割合などについては、介護実調の結果を踏まえた議論となるが、区分変更に伴って上乗せ割合が変更になる自治体も少なくない。上乗せ割合がプラスの場合利用者負担が増え、マイナスの場合は報酬減につながるため双方に影響する。この点については田中滋委員(慶応大大学院教授)が緩和措置の必要性を指摘。厚労省老人保健課の宇都宮啓課長も「何らかの方法で緩和することは十分あり得る」と述べており、緩和措置についても今後議論する構えだ。(8/11MEDIFAXより)

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