介護保険10年でシンポ

介護保険10年でシンポ

 「あなたは安心できますか? 介護保険10年を問う」シンポジウムが3月7日、京都介護ウェーブ2010実行委員会の主催で開催され、160人が参加した。服部万里子氏(立教大学教授)による講演とシンポジウムを通して、施行から10年を経た介護保険を振り返り、改善の方向を探った。最後に集会アピールを採択、経済的心配なく必要な介護が保障され、介護従事者が専門性を発揮して誇りをもって働き続けられる環境づくりなどを求めた。

同志社大学で開催されたシンポジウム。
同志社大学で開催されたシンポジウム。

服部万里子氏
服部万里子氏

服部氏 家族介護に頼らない制度に

 記念講演で服部氏は、訪問介護の利用数が5年前に減少して戻っていないデータを示し、在宅の介護力は低減の一途で高齢者世帯の70%が介護力がないか限定的。家族介護が前提の制度と在宅の生活にミスマッチがあるためで、家族がいなくてもできる介護にしないといけない。また、有料老人ホームが急増している一方で無届の施設も増えている。劣悪でもそこに頼らざるを得ない、行き場のない人にとってのセーフティネットとなっている現状がある。さらに、特養待機者が42万人という現状で、足りないのに減らそうとしている。ショートステイを充実すれば在宅で介護が続けられるという声が3割ある、などと発言した。

 シンポジウムで発言したのは、勝田登志子氏(認知症の人と家族の会副代表理事)、羽賀進氏(特別養護老人ホーム静原寮施設長)、中別府幸子氏(京都ヘルパー連絡会代表)。それぞれ家族、施設、労働者として現状の改善を訴えた。なお、医師の立場からフロア発言した垣田副理事長は、介護保険によって、患者が本来受けられるべき医療から遠ざけられていないか、という問題意識を示した。

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