介護・医療分野など雇用拡大で31件の事業例/政府の緊急雇用対策
内閣府と内閣官房は2月6日、3年間をめどとした雇用創出事業例を取りまとめ、政府の「緊急雇用・経済対策実施本部」に提示した。厳しい経済状況の中で、各自治体が速やかに雇用創出支援に取り掛かることができるよう、介護や農業など将来人手が必要となる分野で206事業をモデルとして示した。介護や医療、子育て分野では、高齢者支援などを行う「フレキシブル支援センター」事業や医師の事務補助者の雇用など31件を盛り込んだ。
雇用情勢の悪化で人員削減が進んでいることを受け、麻生太郎首相が1月、雇用創出につながる事業を検討するように指示し、各省庁が提出した事業例を基にまとめた。
雇用創出事業の対象は、離職者や解雇された労働者など。財源は第2次補正予算で自治体の雇用対策交付金として計上した「ふるさと雇用再生特別交付金」(2500億円)と「緊急雇用創出事業の創設」(1500億円)の計4000億円と、地方交付税増額分のうち雇用創出につながる特別枠5000億円を充てる。
医療分野の具体的な事業例としては、医師の負担軽減のために、検査予約などオーダリングシステムの入力やカルテ記載の代行を行う「医師事務作業補助者設置支援事業」や、子育て中の女性医師らを支援する相談員を中核市や地域医師会などが雇う「女性医師等相談事業」を挙げた。看護職員や女性医師の子を預かる病院内保育所で雇用を生む事業も盛り込んだ。
医師や看護師が往診や訪問看護に出かける際、運転手を雇用する事業も提示。同事業では、医療機関が運転手を雇用した場合、給与補てんとして交付金を支給するとしている。このほか、事業主から受け取った健診結果をデータ化したり、健診対象者に受診を勧める人を雇う「特定健診・特定保健指導実施率向上事業」なども例示した。
介護分野では、高齢者の身の回りの世話や預かりなどのサービスを行う「フレキシブル支援センター」を設置し、離職者らを1カ所につき5−10人程度を雇い入れる案を示した。同事業では、1−2年の雇用期間で介護福祉士やホームヘルパーの資格取得に向けた研修を行い、介護人材不足の解消につなげるとしている。介護保険外のサービスとして、高齢者の外出への同行・送迎などを行う事業も盛り込んだ。(2/9MEDIFAXより)