今月の主な動き
衆院が7月21日に解散、総選挙の日程は8月18日公示、同月30日となり、約40日間にわたる選挙戦が展開された。各党はマニフェストで医療・社会保障の拡充を打ち出し、政策を競った。選挙後には、各党がマニフェストで訴えた医療・社会保障の拡充は実現に向かうのか、注目される。
衆院の解散は2005年9月に小泉純一郎元首相が郵政民営化を争点に解散して以来の約4年ぶり。解散によって、肝炎対策基本法など衆参合わせて120本の法案が自動的に廃案となった。
社会保障費2200億円の抑制など行き過ぎた医療費抑制施策の反省からか、麻生太郎首相は7月31日のマニフェスト発表の記者会見で「行き過ぎた市場原理主義からは決別する」と述べ、社会保障を手厚くする方針を示した。自民党のマニフェストでは診療報酬について「地域医療を確保するためプラス改定を行う」と約束した。また、医師養成数では2009年度に医学部定員を約700人(前年比1.09倍)増員した実績を挙げ、「今後も医療確保のため医師数を増やす」と増員の方針を示した。
これに対し民主党は、診療報酬では「医師や看護師などの増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する」とした。医師養成数も「1.5倍」にするとした上で、これらの政策を実現する予算額を9000億円と見積もっている。
また、75歳以上を別建ての医療保険にした後期高齢者医療制度について、自民は制度の存続を前提にした見直しを提案。民主は廃止し、医療保険を段階的に統合するとして両者の違いが鮮明となった。