人体の不思議展開催中止運動の成果を確認 総括のシンポジウム開く  PDF

人体の不思議展開催中止運動の成果を確認 総括のシンポジウム開く

 これまで取り組んできた「人体の不思議展」開催中止を求める運動の結果、同展主催者側が閉幕を宣言し、実行委員会事務局を解散する旨を告知、また刑事告発と検察審査会への申立、民事訴訟ともに司法および審査会の判断が示されたことを受け、12月22日に「『人体の不思議展』は何だったか〜私たちが明らかにしたこと〜」と題したシンポジウムを開催した。主催は「人体の不思議展」を考える京都ネットワーク。出席者は23人となった。

震災をきっかけに死者の尊厳を再認識

 シンポジウムはネットワークメンバーの1人である西山勝夫氏(滋賀医科大学名誉教授)の司会で進行。第1部では「死体は見世物か―『人体の不思議展』をめぐって」と題し、これまで仙台において、人体の不思議展に疑問を持つ会を結成し、早くから同展開催中止運動の中心的役割を担ってきた末永恵子氏(福島県立医科大学講師)が講演した。末永氏は3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、死者の尊厳についてあらためて考え直したこと。そして、戦争で犠牲になった人々の遺骨の問題や少数民族に対する遺骨収集の実態、遺体・遺骨の医学利用の問題におよぶ、自身の問題意識について述べた。そして、遺体は生きているものの未来の姿。人権尊重の視野は、遺体の尊厳にまでおよぶことを我々は具体的な運動の中で明らかにしたと強調した。

ネットワークの目的達成を確認

 第2部は、「人体の不思議展」開催中止運動の取り組みについて、これまでの経過と到達点を小笠原伸児氏(京都法律事務所・弁護士)、損害賠償請求事件(民事訴訟)を通じてを宗川吉汪氏(京都工芸繊維大学名誉教授)、京都府保険医協会の取り組みを垣田さち子副理事長、石川県における取り組みを斉藤典才石川県保険医協会理事が報告した。

 それぞれの発言者から、この間の運動の到達として、同展実行委員会を解散させ、最終的に同展を閉幕させた成果が明らかにされた。そして、ネットワーク結成の目的は達成されたことを参加者とともに確認した。

 また、運動を通じて浮き彫りとなった新しい課題についても言及。発言者の1人である垣田副理事長は、協会の活動の柱として人権問題があり、その活動の中で同展の問題について取り組んできた。また、医療界として「戦争と医の倫理」問題もある。同展の開催中止運動の到達点を確認しつつ、引き続き医の倫理問題を慎重に議論していきたい。そして、一人ひとりの医師がどう受け止めて、今後どうしていくのかということが考えられるような問題提起を行っていきたいと述べた。

 その後、参加者との意見交換を行い、「『人体の不思議展』の再開を許さない」としたアピールを採択。シンポジウムを終了した。また、シンポジウムで確認した同展開催中止運動の到達点をもって、「人体の不思議展」を考える京都ネットワークを解散することを併せて確認した。

(詳細をメディペーパー京都第164号に掲載予定)

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