京都2014高齢者大学 健康講座 物を見るとはどういうこと?  PDF

京都2014高齢者大学 健康講座 物を見るとはどういうこと?

 
第7講目は草田理事が講義
 
 京都高齢者大学健康講座第7講は11月6日、協会理事の草田英嗣氏が「身近な視覚障害」をテーマに、講師を担当した。
 草田氏は、人が持っている視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五感の中で、現代では視覚からの情報が80%を占めるとし、模式図などを用い、角膜から後頭葉までの情報伝達の流れを解説。眼球の構造をカメラに見立て、網膜に映し出される画像までがアナログの世界、網膜から電気信号に変換されて、視神経に伝達されていくのはデジタルの世界として説明した。
 また、目の状態を指し示す正視、近視、遠視、乱視などについても模式図を使って解説。老眼は、これらの目の状態をベースに、ピント合わせなどの調節能力やスピードが加齢により落ちている状態であることを説明した。また、老眼は子どものころから始まっていることにも触れ、眼内の屈折力を示すジオプトリが、5歳時で15D、16〜17歳時で11D、20歳時には8〜9D、50歳時で1D、60歳時ではそれ以下となるとした。
身近な眼の病気とは
 続いて、眼科における代表的な病気について説明。失明に至る病気のトップ5に入る、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症や誰でも加齢とともに発症してくる白内障など、それぞれの病態などを解説した。また、病態によっては眼球内で酸素欠乏を起こし、酸素不足を補おうとして新生血管が生成される。しかし、この血管は大変もろく、容易に出血等を起こすため、眼科では要注意の血管だと説明した。
 講義ではスライドを使い、それぞれの病気による物の見え方を紹介。白内障は白濁により全体が見えにくくなるが、緑内障では視力そのものはあまり問題がない場合が多く、長い時間をかけて視野が狭窄するため気づいていない人が多いとした。加齢黄斑変性症は黄斑部領域の老化による病気であり、急激な視力低下や歪み、中心暗部となることが多いことなどを解説した。
 それぞれの治療法もスライドで説明。白内障は人工レンズを用い、視力回復が見込めるが、その他の病気の多くは病気の進行を遅らせる、あるいは止めるもので、視力や視野の改善は望めないものが多いことも説明した。
 次回は、12月4日(木)「いつも快適、排尿生活」で砺波博一氏が講師を務める。開始時間が午後1時30分からとなり、通常より30分ほど開始が早くなるため、ご留意いただきたい。また、高齢者大学は中途入学が可能なので、患者さんにぜひお勧めいただきたい。問い合わせは、協会事務局まで。

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