京都府 福祉医療見直し議論始まる
子育て支援医療など年内とりまとめへ
京都府は第1回福祉医療制度検討会を9月30日に開き、制度見直し議論を開始した。委員は自治体担当者、研究者、医師など13人で、座長は澤田淳・京都府立医大名誉教授。今後は月1回程度の検討を経て、年内に取りまとめを行う。その上で市町村と協議し、可能なものから12年度の予算案に計上するとしている。
府は福祉医療制度について、子育て支援医療拡充の気運の高まりの一方で、高齢者が急速に増加するなど厳しい財政状況であることから、「安定的かつ持続可能な制度のあり方」を検討。10年8月に「福祉医療制度の検討に係るワーキンググループ」を設置し、全国や府内市町村の状況調査や府民アンケートを実施、制度見直しを行った場合の事業費推計等を報告書として11年3月にまとめた。福祉医療制度検討会は、この報告書を受け、「子育て支援医療の拡充等を中心に、福祉医療制度の見直しの内容及び時期を具体的に取りまとめる」として設置された。
一方協会は、8月8日に府知事、府議会議長に福祉医療制度の改善に関する要請書・陳情書を提出するとともに、府議会各会派にその写しを配布して理解を求めた(第2797号に既報)。特に、子育て支援医療の外来の対象年齢引き上げや訪問看護ステーションの訪問看護を対象とするよう、長年にわたり繰り返し要望してきた。
第1回目検討会の議論の中心となったのは、(1)子育て支援医療助成制度、(2)母子家庭医療助成制度、(3)訪問看護療養費。(1)は、対象児童の拡大や負担金額の軽減のほか、各市町村間での助成の平準化も求められた一方、自己負担を0円とすることによる医療機関のコンビニ受診を危惧する声もあった。(2)は現在、母子家庭に限定されている医療助成制度の対象を、父子家庭も対象に追加すべきとの意見が相次いだが、府からは「所得制限額と父子家庭への助成は双方向で考えていく必要がある」とし、所得制限額を引き上げる可能性も示唆された。(3)は、今や、全国の都道府県では43団体で訪問看護療養費が福祉医療制度の対象となっており、京都府においても早急に対象とするよう求められた。
協会は引き続き、検討会の経過について注視するとともに、制度の拡充を目指して活動する。