京都市会の後期高齢者医療制度廃止意見書可決について
民主・共産の市会議員にきく
去る10月3日、京都市会で後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書が可決された(本紙2660号で既報)。これは政令市では全国で初の、画期的なことであると協会でも受け止めている。そこで、提出会派である民主・共産各会派の京都市会議員に話をきいた。
政令市で初という重み受け止めよ
民主・都みらい京都市会議員団(京都市会教育福祉委員会委員)
藤川 剛 議員
今回の意見書提出は、政治的なことは全く抜きにして、この制度自体がうまく機能していないという思いからだ。制度開始後に政府も見直しを言っているが、小手先だけになっている。高齢者にとっては、厳しい経済状況の中、少ない年金でやり繰りしているのに、そこから保険料が徴収されるのは不安を募らせるばかり。
ここは何としてもいったん廃止し、以前の制度に戻した上で、子どもから高齢者まで年齢を区切らない、誰もが一つの保険制度に加入して安心して医療機関にかかれる制度を目指すべきだ。
意見書について他会派とも調整する中で「廃止を含め見直し」ということもあがったが、一度それでうまくいかなかったこともあったので、ここは思い切って「廃止」でいくべきだろうということになった。結果として、共産党市議団が賛同してくれたので、34対33と非常に拮抗した中で可決することができた。
意見書として提出したので、あとは政府、関係行政庁に政令市として初めてという重みをわかってほしいと思っている。また、国会の場で新たな制度構築に向けて議論していただきたい。
今回の命に関わるところのように、待ったなしの分野以外においても課題があれば、保険医協会とこれからも意見交換させていただいて、取り組んでいきたいと思っている。今後ともよろしくお願いしたい。
政治は変えられることを示した
日本共産党京都市会議員団(京都府後期高齢者医療広域連合議員)
妹尾直樹 議員
市会での意見書可決は、この間の保険医協会をはじめとするさまざまな団体の運動の大きな成果だと思う。私が広域連合議員になった当時、制度の内容はあまり国民的に知られていなかった。国会論戦で問題点が明らかにされ、運動を通して大きな世論になり、4野党による廃止法案提出に至った。
過日の南区市会議員補選でこの問題を争点にし、共産党議員が議席を獲得。これにより1票差での意見書可決となった。これは、国民が声をあげれば、政治を変えられるという、今の政治の変化を表す一つの象徴的出来事だと思う。いよいよ制度開始から1年ほどで廃止に追い込む具体的な展望が、京都でつくることができたというのが実感だ。
制度の問題はいろいろあるが、何よりも保険料を上げてほしくなければ受けられる医療内容が制限されるという仕組みは、いかなる小手先の見直しをしても、制度そのものを廃止しないと頭をもたげてくる話。この点を多くの人に知ってもらって必ず廃止しないといけない。近々行われるであろう総選挙の大きな争点にして、衆議院でも廃止法案が可決できる力関係に追い込んでいきたい。
市会では社会保障費の削減方針撤廃を求める意見書も可決しており、これも見逃すことができないこと。今後は財源論を含めて、どういう税金の使い方にするか、高齢者の負担を減らしても維持できる制度にどうしていくかが、新たな段階での焦点になっていく。
【京都保険医新聞第2663号_2008年11月3日_1面】