京都市会 保健所改革案が可決 専門職の配置等で付帯決議
京都市が2月定例会に提案した、新たに市役所本庁に「京都市保健所」を設置し、同時に、現在京都市内11カ所(各行政区)に設置する保健所を地域保健法上の支所、名称を「保健センター」とする京都市保健所条例の一部を改正する条例案(議44号)が3月19日、最終本会議で可決された。4月1日より実施。
この提案に対し協会は、京都市が公衆衛生施策のビジョンもなく、拙速に廃止や広域化を進めることは許されない、関係者・市民との充分な協議を行うべきとの立場で、市当局や市会各会派への要請や意見書提出等、取り組みを進めてきた。しかし、与党(自民・公明・民主)の賛成多数で採決に至った。市は提案理由を次の2点とした。
(1)感染症などの健康危機事案発生にあたっては、その影響が1行政区にとどまらず、また、保健衛生分野にもとどまらないため、正確な情報を全市一元的に集約し、「迅速かつ的確」に、「全市統一的な対応を行う」必要がある。
(2)各行政区において、これまでの対人サービスを行い、さらに一層の地域保健推進をはかるため、地域住民の健康に対する意識を高める。
また、京都市は現在、各保健所に設置されている公害・廃棄物及び地球温暖化対策に関する事業者対策機関を、新たに一元的に所管する組織として、環境政策局に「環境保全センター」を設置し、北部・南部2カ所に設置すると説明した。
条例改正案は可決されたが、その一方、この採決に際し、6項目の付帯決議(左掲)が提案され、可決した。
付帯決議の内容は、協会がこの間主張してきた、保健衛生行政の充実・強化を求めること、専門職の配置等が盛り込まれた。今後、京都市保健所創設と地域の保健センター化実施という新たな機構・体制において、京都市当局がどのようなビジョンと行動計画をもってその推進にあたるのか、引き続き注視し、要請・提言活動を進める足掛かりにしていくことが求められよう。
なお、この間の協会の取組みは既報の通りだが、その後、3月15日には第二次意見書を市当局と市会各派に提出、17日に京都市保健福祉局保健衛生推進室・松井室長、同高木部長と面談するとともに、民主・都みらいの小林あきろう議員と懇談。18日には、小林議員と鈴木マサホ議員と懇談し働きかけを行ってきた。
(左から)小林・鈴木市会議員と懇談する垣田副理事長
市民の議第44号京都市保健所条例の一部を改正する条例の制定について (22年3月19日付帯決議)
(1)市民の健康づくりや食の安全と安心にかかわる公衆衛生行政の機能低下をもたらすことなく、充実・強化を図ること。
(2)新型インフルエンザ対策などの経験を踏まえて、市民の命を守るために危機管理体制を構築すること。
(3)専門職の人材確保と育成及び保健センターへの配置をこれまでどおり行うこと。
(4)市民の命と健康を守る各行政区ごとの施策の充実や公衆衛生施策を確立し、福祉・保健の連携を強めること。
(5)公害対策については、環境共生センターに移転されることになるが、市民への広報を図り円滑に対処すること。
(6)地域保健の推進と充実のために地域の医療、保健、福祉関係者などとの連携を強めること。