京都北・上京東部・西陣医師会と懇談
11月20日 京都府保険医協会
開業医への評価低いと不満の声
協会は11月20日、京都北、上京東部、西陣医師会との懇談会を開催した。地区から13人、協会から6人が出席した。懇談会では西陣医師会の林鐘声会長が「協会は常にはっきりとした視点を提示してくれるので、各課題について本日もしっかりと考える機会としたい」とあいさつ。協会は各部会の話題提供に加えて「医療・介護提供体制と医療保険制度の一体的改革」「新専門医制度と総合診療専門医制度」について情報提供し、活発な意見交換を行った。懇談会は、西陣医師会の長谷川功副会長の司会で進行した。
意見交換では、非営利ホールディングカンパニー型法人の問題に言及。地区からは、「どこの国が実施しているのか」「日本で定着するのか」などの意見が出された。これに対し、協会は「アメリカのメイヨークリニックが有名。また今、注目を集めているのがピッツバーグの医療産業集積で、中核事業体となっているのはピッツバーグ大学医療センター(UPMC)。大学病院を中心に高度先進医療をメインに提供し、一方で予防接種や健診などの地域医療も担っている」と説明。
また地区から「病床機能報告が開始されたが、このデータは出てくるのか」と質問。協会は、「データの集約、分析はみずほ情報総研株式会社が行い、これをもとに自治体が提供体制を検討する。データは公開される予定。提供体制構築にあたっては医療機関の協議の場を設定するとあるが、実質不可能に近く、知事の権限で決定されることになるのではと危惧している」とした。
続いて、新専門医制度では地区からの「総合診療専門医の真の狙いは、医療費抑制か」という質問に対し、協会は「政策的な狙いは医療費抑制」と返答。また、地区から「耳鼻科などの専門科は必要とされていないように見える」「どういった医師が総合診療専門医を目指すのか」「従来、行ってきた仕事は継続できるのか」「開業医に対する評価があまりに低い。仕事を否定されているようだ」などの意見も出された。
協会は「学生の意識調査では一定程度の割合で地域医療に従事したいという意見がでる。これらを受けて専門医制度が浮上してきた。一方で、厚生労働省は地域偏在を強く意識。厚労省は研修医必須化の時には、研修医を保険医から外すことや、保険医定年制を導入しようとした経緯がある。新専門医制度では専門医ごとに、総合診療専門医も含めて都道府県別の定数を決めていく方向が模索されている。自由開業医制の完全な転換という激変につながる医師政策として注視していかなければならない」とした。
その他、地区から集団的個別指導について、「対象となるのはレセプト高点数上位8%と言われているが、8%以内に入る医療機関は均等に指導があたるのか。また、各科の平均点数を確認できるようにしてほしい」との質問と要望が出された。協会は「京都では高点数医療機関に対する指導は実質行われていない状況。一方で、高点数のみに着目した指導が行われている県があることも事実。保団連・各団体を通じて高点数の見方を改善するなど要請を行う必要がある。各科の平均点数は内部資料として持っており、希望があればお渡ししたい」とした。