交付金か報酬か、処遇改善の方向性出ず/介護給付費分科会  PDF

交付金か報酬か、処遇改善の方向性出ず/介護給付費分科会

 厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東京大名誉教授)は5月13日、介護人材の確保と処遇の改善策について議論した。処遇改善交付金の継続か、報酬に組み込むかで意見が分かれたほか、「交付金と報酬内手当の両方が必要」との意見も出て、この日の議論は方向性が見えないまま終了した。

 処遇改善交付金の継続を支持する委員からは、給与の上昇に直接反映できる点を評価し、報酬に組み込んだ場合の保険料上昇を懸念する意見が多かった。

 武久洋三委員(日本慢性期医療協会長)は交付金の効果を認めた上で、対象が介護施設だけである点を指摘し、2012年度の同時改定で中医協と連携し、介護施設、病院、居宅サービスの全体で介護職の処遇改善策を講じる必要性を訴えた。人材確保について「介護職より、事務職の給与が高い傾向にあるという点も整理すべきではないか」とも述べた。

 一方、報酬内に組み込むべきとする委員らも、交付金の効果は評価した上で、時限的な措置は制度を継続するという本筋とは違うと主張した。

 田中滋委員(慶應義塾大大学院教授)は「世間の失業率上昇と反比例して介護職の有効求人倍率が低下するという状況をできるだけ早くなくさなければならない」と強調した上で、介護保険の外側にある臨時的な交付金に頼るのではなく、制度の中で賃金を含めた財政に対応しなければ責任を果たすことにはならないとした。(5/16MEDIFAXより)

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