事故調のいう「予期せぬ死亡」に備えて―プロローグ  PDF

事故調のいう「予期せぬ死亡」に備えて―プロローグ

連載開始の前に

 京都府保険医協会は医療安全対策を講じて50周年を記念して5年前に「医事紛争事例集―医師が選んだ50事例」を発行した。この冊子は京都府内に留まらず、全国的にも予想以上の評判となり、すぐに在庫切れとなった。現在は14年度に向けて「医事紛争事例集―医師が選んだ55事例」の発行を企画しており、完成した際には50周年と同様に全会員にお届けする。会員各位の日常診療にお役立ていただきたい。

 ところで、政府は医療版「事故調」の設立を進めているが、やはり気になるのはその対象となる「予期せぬ」死亡事例である。「予期せぬ」の「誰が」が不明であり、主語によって状況は一変する。つまり、「主治医か」「第三者的専門医か」あるいは「患者か」で、その判断は全く異なる。いずれにせよ、協会は会員から相談を受けた医事紛争に対して、今まで同様に誠実に対応して、必ず解決することだけはお約束したい。

 会員から協会に相談のあった案件にも、その主語は別として、予期せぬ患者の死亡に関する医療事故・医事紛争は数多くみられる。今回から始まるこの連載では、主に会員(主治医)が予期せぬ死亡事例を紹介していきたいと思う。先に述べた「医事紛争事例集―医師が選んだ55事例」のプレゼンテーションといえるだろう。協会は、医療事故・医事紛争を予防すべく、会員から報告のあった事例を全て記録しており、その概要が記録されている解決事例だけでも千例に上る。これらの事例は、吟味した上で機会あるごとに紹介している。半世紀以上にわたる協会の医療安全対策の歴史の重みの賜でもある。更に、事例以外にも協会は会員向けに、さまざまな紛争予防活動を行っている。ここでは「医療安全研修会」と「医療安全担当者スクール」をあらためて紹介したい。

 【医療安全研修会】会員のみならず会員医療機関の全従業員が対象。医療安全にかかわる基礎的な知識から、受講者の希望に沿った個別の問題まで幅広く対応している。内容に応じて、講師は協会担当理事・顧問弁護士・担当事務局が担当する。事例を医学的に解説する場合は理事者、医療裁判の分析・評価ならびに法的な解釈を求められる場合は顧問弁護士、患者対応が中心であれば担当事務局が務めさせていただく。

 【医療安全担当者スクール】先述した医療安全研修会のいわば応用編。対象は会員医療機関の医療安全担当者であるが、会員から希望があれば、その対象は臨機応変に対応させていただける。テキストは協会発行の「事例で見る医療安全対策の心得」の第二章のマスターをめざし、より良い患者対応を目的としている。講師は千数百件の対応経験を持つ経験20年の事務局が担当させていただく。

 それぞれ医療法に定められる研修に相当するので、希望があれば研修修了証を発行する。いつでも協会事務局までお電話をいただきたい。

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