事前指示書、賛成多数も作成は3.2%/厚労省の終末期意識調査  PDF

事前指示書、賛成多数も作成は3.2%/厚労省の終末期意識調査

 厚生労働省は6月27日の「終末期医療に関する意識調査等検討会」(座長=町野朔・上智大教授)に、一般国民や医療従事者を対象に実施した終末期医療に関する意識調査結果の速報を示した。終末期に受けたい治療内容をあらかじめ記しておく「事前指示書」の作成に賛成する意見が多数を占めたが、実際に作成しているのは「賛成」と回答した一般国民の3.2%にとどまった。

 「人生の最終段階における医療に関する意識調査」は一般国民、医師、看護師、施設介護職員、医療機関や介護老人福祉施設の施設長を対象に2013年3月に実施。全対象者数1万8800人のうち36.7%に当たる6902人から回答を得た。

 自分で判断できなくなった場合に備え、どのような治療を受けたいかなどを記載した事前指示書をあらかじめ作成することへの賛否を尋ねたところ、一般国民の69.7%が賛成と回答した。医師では73.4%、看護師は84.7%、施設介護職員は83.8%となった。一方で、事前指示書の作成に賛成と回答した人に対し、作成状況を尋ねたところ一般国民では3.2%にとどまった。医師も5.0%、看護師と施設介護職員ともに3.5%という結果だった。

 委員からは、事前指示書の作成に賛成する割合と実際に作成している人の割合にギャップが生じていることに関連した意見が多く出た。

●終末期を過ごしたい場所は
 「末期がん」「認知症」など5つのケース別に終末期を過ごしたい場所を尋ねた項目では、ケースごとに差が出た。一般国民では「末期がんであるが、食事はよく取れ、痛みもなく、意識や判断力は健康なときと同様に保たれている場合」については、居宅が71.1%で最も多く、医療機関は19.0%、施設は8.2%だった。一方「認知症が進行し、身の回りの手助けが必要で、かなり衰弱が進んできた場合」では、施設が59.2%で最も多く、医療機関が26.8%、居宅が11.8%となった。また「交通事故により半年以上意識がなく、管から栄養を取っている状態で、衰弱が進んでいる場合」は医療機関が71.5%で最も多かった。

 委員から、全体の調査結果について▽年齢▽病床種別▽看護師の勤務先類型▽回答者の居住都市規模―などを考慮して分析する必要があると指摘された。次回会合では、厚労省が委員からの意見を踏まえたクロス集計結果を提示し、報告書のまとめ方についても検討する。(6/28MEDIFAXより)

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