九条医療人の会が総会  PDF

九条医療人の会が総会

伊藤真弁護士がその異常さを指摘 立憲主義を覆す自民党改憲案

 協会などでつくる「九条の会アピールを支持する京都医療人の会」は総会・講演会を4月20日、池坊こころホールで開催。一般公開された講演会は、日本国憲法の理念を伝える講演・執筆活動を精力的に行っている伊藤真弁護士(伊藤塾塾長)を迎えて「自民党改憲草案の検証—解釈改憲や特定秘密保護法等にもふれながら」をきいた。参加者は65人であった。

 伊藤氏は、多数意見が常に正しいわけではなく、多数意見でも奪えない価値である「人権」や「平和」を守るのが憲法であると解く。自民党改憲草案は、本来は憲法を守る義務のない国民を守る側におき、国を縛る憲法から国民を縛る憲法へ変えることにその本質がある。権力行使に憲法で歯止めをかけるという考え方が立憲主義であり、安倍首相の「国家権力を縛る考え方はかつて王権が絶対権力をもっていた時代のもの」「最高の権力者は私だ」といった見解は、立憲主義への無知を示すものであり、主権者として私たちがブレーキ役を果すことが今ほど重要なときはないとした。

 さらに憲法の恒久平和主義の意義とは、国際社会の一員として特にアジア諸国民から承認されるための国際公約であるとともに、国連憲章を越える戦力不保持と交戦権否認、平和の視座を国家から個人に転換して人権として保障する(平和的生存権)という先駆性にある。それに対し自民党案は、平和的生存権と交戦権否認条項を削除し、国防軍を創設▽自衛権発動に制限をなくす(集団的自衛権の容認)など、「戦争ができる国」へ変えようとするもの。

 それにより、徴兵制が可能となるばかりでなく、増大する軍事費を賄うため増税・社会保障費削減や潜在的核保有を正当化するための原発維持、軍需産業との癒着、武器輸出解禁による死の商人—などの影響が考えられる。

 また、安倍政権の進める集団的自衛権の容認は、▽縛られる側の都合でどうとでも解釈できるとしてしまうと立憲主義の意義を失わせる▽日本の敵が一気に増えることを意味する▽近隣諸国との緊張を高め、軍拡を助長▽外交上のカードを失い、より困難に直面▽平和国家というジャパンブランドを捨て去る—ことになると指摘。

 解釈変更、憲法改悪阻止する上で重要なことは、権力の危険性や戦争の悲惨さ、自分の生活がどう変わるかの想像力であり、市民的連帯の力への確信でもある。そして、憲法の理想に現実を近づけることこそ必要であり、おかしいことにはおかしいと声をあげるべきであることを説いた。

参加者アピールを安倍首相に送付

 講演会の最後に、参加者アピールを採択。安倍政権による立憲主義を否定する動きを批判するとともに、一人ひとりが憲法を守りたいと思う自分の心をしっかりと伝えることをこれからも続けることを訴えた。翌21日に首相官邸および報道各社に送付した。

 講演会後の総会でも、安倍政権の暴走に抗する取組みを進めることなどを確認した。

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