主張/TPP交渉内容を公表し、撤退せよ!
ブルネイでのTPP交渉会合で、日本はアメリカ、オーストラリアとの間で関税に関する協議はなかった。今後のTPP交渉は分野別会合や主席交渉官会合が設定されているが、TPP首脳会議は10月のAPECに合わせて開催されるのみである。日本はまともな交渉ができないままにAPECでの大筋合意、年内妥結を掲げている。
知的財産権の案件もあり年内妥結は難しいとの見方もあるが、政治的判断という方法で決着させられる危険性もあり、注視していく必要がある。
なぜ年内妥結を急ぐのか。日本という国を大きく変えてしまう問題を国民への十分な説明なく進めていいのか。ここで問題なのは、TPP交渉が秘密主義だということだ。たとえ交渉が決裂しても4年間は交渉経過を秘密にするという守秘契約のもとで行われている。国会決議の中に「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うように措置すること」という事項があり、政府もこの決議をふまえ交渉するとしている。しかし、先述の守秘契約と矛盾しており、こうした部分を明らかにしていく必要がある。そもそも交渉が秘密主義であることは、国民に不安や不信感を抱かせるだけで、本当に国民のために、国益を守るために交渉しているのであれば交渉内容は明らかにしなければならない。実際これまでに守秘契約を交わす通商交渉は行われたことがなく、このことからもTPP交渉が異常な交渉であることがわかる。
TPP交渉以外にもTPPの先取り規制緩和や国家戦略特区構想による株式会社の医療機関の経営、国内で承認されていない器具、技術の使用、混合診療など注意が必要である。
TPPなどを通じて、安倍内閣が進める「世界で一番企業が活動しやすい国をつくる」という成長戦略は裏を返せば「世界で一番格差のある、国民が暮らしにくい国をつくる」ということであり、経済的な格差が命や健康の格差になる。私たち医療人にとって、国民の「健康」を脅かすTPP交渉には断固反対していかなければならない。TPPではないが、聖域なく、全ての分野の人たちが、全ての障壁を撤廃して一つになり、TPP反対という目的で運動を進めていく必要がある。