主張/雇用管理の正しい理解と対応を
政府の医療費抑制政策のもとで、在院日数の短縮化、医療の高度化、電子カルテ等のIT化、病院機能評価の受審の影響などで医療従事者の働く環境が大きく変わってきた。開業医にとっても、おかれている環境は変わらない。正規職員を雇用したくてもパート職員や派遣職員を雇用せざるを得ないこともある。
医院経営にとって雇用管理は大変難しいと思われるが、労働基準監督署の調査が入れば、「知らない」「できない」ではすまされない。残業代の不払いなどが是正対象になれば、経営にも大きな影響を及ぼすことになる。実際、定期監督を受けた医療機関の8割が労働基準法違反の是正勧告を受けている。
2008年3月には、パートタイム労働法や最低賃金法が改正された。協会の代議員アンケートでも、その内容を十分に理解されていない方が多いことがみてとれる。
職員を解雇する際には、就業規則や労働契約書等にどのような時に解雇されることがあるのかをあらかじめ示しておき、その用件に合致した場合しか解雇できないことになっている。
契約時にしっかりと労働条件について明示することが必要だ。そのために就業規則を作成しておくことも大切である。常時10人以上の職員(正規、パート職員すべてを含む)を使用している医療機関は就業規則を作成して所轄の労働基準監督署に届け出なければならない。
また、時間外労働や休日労働を行わせる場合には、職員の代表者と、いわゆる36協定を締結して監督署に届けることが必要である。最近の傾向として、労働基準監督署の調査は「労働条件に関する自主点検の実施について」というアンケートで自主点検の結果を報告させて、改善が必要な項目が多い事業所や対応が不誠実な事業所を調査対象とする場合がある。このような雇用管理に関する法制度を熟知し、それに応じた対応が必須である。
良質で安全な医療を提供し、医院経営と雇用管理の改善を図るため診療報酬の大幅な引き上げ、患者負担の大幅軽減、消費税の増税中止、損税解消等の運動を共にすすめていこう。