主張/耐え忍ぶことに慣らされてないか!
真の社会保障改革を実現しよう
最近ふと考え、反省することがある。知らず知らずのうちに、私たちは社会のすべてのことについて、国・政府からの押し付けを何の抵抗もなく受け入れることに終始しているのではないだろうかと。
「財源がないから負担を増やす」と言われても、「そうかもしれない、今はじっと耐え忍ぼう」と。
こんなことの繰り返しで、耐え忍ぶことが当たり前のように感じてしまうようにされてしまったのかもしれない。
また、政治の体たらくぶりに慣らされて、あきれることはできても、それに対しての怒りを失わされ、奪われてきてしまったのではないだろうか。それも政府の戦略なのか? 今、私たち自身が自らの手で世の中を変えていこうという気持ちを失いかけてはいないだろうか?
政府は「社会保障・税一体改革」成案を策定した。社会保障のあり方を、国民の「自助」を基本とし、国民の「共助」を強化、国が本来責任を持って行わなければならない「公助」を限定して、公的負担を削減していくというもの。
本来、社会保障は「共助」なのだろうか?
財源に関しても、法人実効税率を引き下げ、国民の「共助」の名の下で消費税を10%以上への引き上げを打ち出している。そして、消費税収の範囲に社会保障を抑え込もうとしている。本来、財源ありきではなく、目指すべき社会保障を実現するためには、どれだけの財源が必要なのか。そしてそれを実現するために今の歪んだ税制を改革する。これが真の「社会保障・税一体改革」のあるべき姿ではないだろうか。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められた憲法25条のもとで、国の責任で行う「公助」でなければならない。
もともと企業の終身雇用制度などに頼り、国の制度として希弱だった日本の社会保障が、国がこれまで推し進めてきた「構造改革」によって、さらに壊されてきた。そして今、「社会保障・税一体改革」によって、さらに加速度を増そうとしている。
この現実をふまえ、私たちは憲法25条に力を持たせるために社会保障基本法・憲章を提起し、この基本法・憲章を大きな武器として、「構造改革」をさらに推し進める「社会保障・税一体改革」を阻止し、日本を福祉国家として再生させていかなければならない。そして今、医療に携わる私たちは、さまざまな壁を乗り越えて、みんなが一つになって立ち向かっていく時ではないだろうか。