主張/社会保障は地域を活性化する  PDF

主張/社会保障は地域を活性化する

 地方へ行くと商店街はシャッターで閉められ、人々の往来も少なく驚かされる。一方、大型のショッピングモールに行くとキッズコーナーやゲームセンターが充実していて、子どもたちが楽しげに飛び回っている。フードコートでは、家族連れで食事をしている。
 どこの町に行っても、同じような風景を見ることができる。少子高齢化でこの町は大丈夫なのだろうか。TV番組の「ケンミンショー」ウのような、この町の独自の食べ物や習慣はなんだろうと思う。大きな工場や産業がなければ、この町もなくなってしまうのか。伝統産業をコツコツしていけばいいのだろうか。
 ご先祖様から頂いたこの土地を離れたくはないが、息子や娘は大都会に行って帰ってこない。町が活性化したら、子どもも戻ってくれるかもしれない。町おこししたくても、今の自分では腰も足も動かないし、嫁も車イスだ。そういった声を聞くこともある。
 それでも町おこしはできると私は言いたい。みんなで医療、介護、子育て支援などのサービスのネットワークを作り徹底的にやれば、町は必ず活性化し、人々も安心して暮らせる。そんな町には人が集まり、経済も活性化する。なにも伝統的な祭りや新しい祭りをしなくても、町おこしはできるのだ。
 新しい老人保健施設や特養を作らなくてもいい。町全体が老健や特養であり、子育て支援センターなどだから。その原資はどこにあるのか。みんなでわずかの金額を出し合って基金とし、元気な人は医療・介護の手助けをして町おこしクーポンを手に入れる。このクーポンは自分が医療・介護を受けるときに自己負担を割り引いてもらうものとする。暮らしやすく、人にやさしい町ならだれでも住みたがる。
 そして、ネットワークの核となり、町おこしのキーパーソンになれるのは、我々開業医だ。

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