主張/消費税損税解消実現に向けて  PDF

主張/消費税損税解消実現に向けて

 消費税10%への増税が先送りされたことにより危機感が薄れがちではあるが、2017年4月に10%となるのはほぼ間違いない。消費税増税議論を受け、昨秋から府内各地区医師会と行っている2014年度の懇談会では、消費税損税についてアンケートをお願いしている。その内容を述べたい。
 まず、控除対象外消費税と損税について。一般の商品販売、サービス提供によって得られる価格には、現在は8%の消費税が課せられている。しかしその全てを納付するわけではなく、原料仕入れなどの経費の支払いの際に支払った消費税は控除される。したがって損税は生じないことになる。しかし、社会保険診療報酬は非課税とされている。課税されていないのに控除されることは、当然あり得ない。よって我々の支払っている消費税は全て控除対象外消費税ということになる。
 控除対象外消費税は診療報酬に1.53%(消費税5%当時)が加算されているため、解決済みというのがこれまでの国の見解であった。しかしこの1・53%を信じても、控除対象外消費税には足りず、協会の調査では無床診療所でも数10万円の差額が生じている。これが損税である。
 この損税を解消するためにどうするか。ひとつの解決策は社会保険診療報酬を課税にすることである。課税されれば仕入れ税額控除ができるので、控除対象外消費税も損税も生じない。しかしこの場合、消費税を患者から徴収することになり、ただでさえ多い患者負担を増やすことになる。そのため、我々はこれまで究極の軽減税率であるゼロ%課税を主張してきた。これは患者負担を増やさず医療機関の損税を根本的に解消する理想的な方法ではあるが、消費税収を減らすことにもなり実現へのハードルは高い。
 病院においては設備投資などが多いこともあり、損税は非常に大きくなる。病院団体から出ている、保険診療においても消費税を普通に課税するという主張は現在の病院の財政の悲鳴とも考えられる。我々はこれからもゼロ税率の要求を基本とするが、できるだけ早期の損税解消を求める柔軟な姿勢が必要であろう。会員各位もお考えいただき、ご意見をお聞かせいただければ幸いである。

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