主張/最前線の医師たちを守れ
新型インフルエンザの拡大は“脅威”のレベルを超えている。
近来の日本社会ではまさに想像外のパンデミックが進行しつつある。こんなにもろい社会だったのか、という思いもないではないが、医療の現場に望まれることに絞りながら主張したい。
11月6日、子どもたちへの接種を呼びかける訴えが政府から出されたが、肝心のワクチンが届かない現状では、前線の医師たちはまさに/徒手空拳/でこれに向かうことになる。
押し寄せる発熱患者の分別と、症状に応じた対応、そしてこれが夜間にもっと高熱に至ったときの注意、異常行動に気づいたときの心得など話は多岐にわたる。一般の外来患者にももちろん高齢社会を反映して、重篤な合併症を抱えた人も多い。診療の最前線でがんばる医師たち、休日診療所に出務する医療従事者たちの我慢も限界で、出務する医師をはじめとした従事者を増やしたところも多いと聞く。それぞれの診療所や病院さらに、さまざまな介護保険施設でも職員が次々倒れたという連絡が入ってくる。その都度、職員の間に緊張が走る。
これはまさに危機管理である。
違う次元でいうならば、この事態が政権の変わり目に起きたということはあえて差し引くとしても、東京都ではすでにこの事態を予測した予算を立てていた。地方と大都市のこの情報と対応の違いは何なのかも気にはかかる。
一般の保険医は地域の患者サイドで必死に健康の保持、そして病とたたかっている。次々押し寄せる既知・未知の感染症との対決は、最前線の保険医の大きな課題の一つである。
これを支える/政治の劣化/が各方面で嘆かれているが、まずはじめに疲弊し、崩壊に直面する医療や福祉・介護を守るという新政権の、決然とした覚悟を示していただきたい。