主張/患者に寄り添った在宅を  PDF

主張/患者に寄り添った在宅を

 私は、強化型在宅支援診療所をしている。2カ月に1例ほどの看取りをしている。

 今、在宅医療を受けている患者が増えている。テレビや新聞などでも多く報じられるようになり、在宅医療への関心や重要性は年々高まっている。在宅医療とは、高齢者をはじめ、末期がん、認知症、脳梗塞など通院が困難な患者が、住み慣れた自宅で必要な医療サービスを継続して受けられることだとされている。在宅療養を希望する人に対して、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリ療法士、ケアマネジャー、ヘルパー、福祉関係者などがチームとなって、24時間365日、患者と患者家族を支える。それでも人生の終末期は訪れる。「最期をどこで迎えたいか」という問いに、自宅を希望したのは、約6割(内閣府調査)にのぼる。

 しかし、一方で自宅で最期まで療養することが実現困難な理由は、1位が介護してくれる家族に負担がかかる。2位が病状が急変した時の対応に不安があるということだった。私の地域では、多くの専門職がチーム一丸となって患者やその家族を支え、家族の負担を軽減し、自宅で過ごすことを可能とする態勢を構築している。

 人は老い、いつか死を迎える。在宅医療を受けながら、できる限り最期まで住み慣れた自宅で過ごすことは、家族の絆を深め、子や孫たちにとっても老いや死に寄り添う機会となるだろう。

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