主張/在宅医療に現場の声を  PDF

主張/在宅医療に現場の声を

 
 多数の憲法学者による違憲判断、世論の60%前後にのぼる反対を押し切って安全保障関連法が成立した。返す刀でアベノミクス「新三本の矢」を表明し、社会保障費の更なる削減を推進しようとする安倍政権。
 
 来春の報酬改定は、我々医療者にとってますます厳しいものとなるであろう。
 
 川上、川下の改革によって推進が謳われる在宅医療。ここにも推進のお題目とは相反する締め付けが予想されている。
 
 前回の改定で行われた、在宅時医学総合管理料における「同一建物居住者を同日に訪問診療した場合」の大幅な減額。反発を予想して、「月2回以上行った訪問診療のうち、1回でも1人のみを訪問した場合は、同一建物居住者以外の高い点数を算定できる」などという奇妙な規定が追加された。当然の結果として、この規定を適用した対応をとる医療機関は多くなる。すると今度はその事実を逆手にとって、「非効率な訪問診療が多数なされている」ときた。次期改定では管理料全体の引き下げが懸念される。
 
 そればかりか、これまで個々の患者さんが訪問診療の対象か否かは主治医の判断によるとされていたが、これにも規制がかかりそうである。判断基準に用いられそうなのは、要介護認定における「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」と「認知症高齢者の日常生活自立度」だが、現場感覚としてこれだけで判定されることには大いなる疑問を感じる。居住地域(日本は南北に長い)、交通事情、家族状況etc…。同じ自立度であっても、これら多数の要因により必要度は千差万別である。画一的机上論ではなく、現場の状況に即した対応を講ずることこそ、地域包括ケアの「住み慣れたところでいつまでも」を実現する途であり、安倍政権の言う「介護離職ゼロ」に近づくルートではないだろうか。安保法に対する全国各地の動きから、現場が声を出し続けることの重要性を、今更ながら再認識するこの頃である。

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