主張/医療の税制改正は適正な診療報酬改定がされてこそ

主張/医療の税制改正は適正な診療報酬改定がされてこそ

 ひとつの時代が終わったと言われて久しい。だがその先にいかなる時代を展望するのかは、その輪郭すら描かれていない。鳩山首相も「我が国の財政は危機的な状況にある」との認識を示し、国民が信頼できる税制の構築の、必要性を強く訴えた。原因は、景気悪化による税収減や相次ぐ経済対策、少子高齢化による社会保障費の拡大により、先進国で最悪の水準にあるとされている。そこで、再び消費税率アップを含めた財政再建の道筋を描く必要性が高まっているとされているが…本当だろうか。「我が国の財政は危機的な状況」、消費税アップが財政再建の道筋だろうか。「公平・透明・納得」納税者の視点に立った原則の下で、政治主導の政策決定を行うとともに、政策決定の過程を透明化する、としている。

 租税特別措置法26条・67条は、社会保険診療報酬の適正化が実現するまでの暫定措置として1959年に議員立法として創設され、79、88年の改正を経て現在の4段階税制として定められた経緯がある。小規模医療機関が地域医療に専念できるため、多くの医療機関が適用している。租税特別措置については、特定の企業や団体が本来払うはずの税金を減免されている点で、実質的な補助金と位置づけ、廃止の方向へ検討されている。

 急激な廃止は、高齢・小規模医療機関を廃院へと追い込むことになる。さらに診療報酬にかかる事業税(地方税)の非課税措置についても、「要望内容の抜本的見直しができなければ、存続は認められない」と判断されたが、10年度は存続の見通しとなった。

 医療は本来、営利を目的とした事業ではない。診療報酬も公定価格であり、勝手に利益分をのせることはできない。医療は極めて公共的・公益的な活動であり、一般の事業と同様に事業税を課すことはなじまないと考える。

 現状のまま、措置法が廃止というようなことになれば、医療崩壊がますます進行してしまう。地域医療を支える診療所・病院の役割を診療報酬で正当に評価することが必要である。

 また、景気が悪化している時こそ、消費税を減税し、内需主導型の経済への転換をすべきことだし、医療にかかる消費税は非課税ではなく、ゼロ税率の適用をすべきである。

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