主張/医事紛争の相談は協会へ
既にご承知の通り、京都府保険医協会は2009年度を以って医療安全対策50周年を迎えた。10年度となり、気持ちも新たに再スタートを切るつもりで、会員各位のご相談に対応していきたいと考える。
さて、協会が医師賠償責任保険を組織的に導入したのは1968年度で、既に40年分の医療事故・紛争に関するデータが蓄積されている。近くそのデータをまとめて、評価・分析した特集号を会員全員にお送りする予定だが、そのエッセンスを先に紹介しておきたい。
(1)医事紛争は10年毎にその様相を激変させる。(2)医事紛争の件数は10年毎に1・4倍に増加してきた。(3)将来(2010年代)においては減少傾向となる可能性がある(最悪の時代は過ぎた?)。(4)マスコミ報道の医療に対する影響は強大で、世論のみならず時に医療過誤の判断基準さえ左右する。(5)医事紛争に遭遇する医師は上位から「内科医」「外科医」「整形外科医」「産婦人科医」の順で、今後ともこの順位は大きく変わらない可能性が高い(診療科目によるリスクは時代に影響されない)。(6)実際に医事紛争に遭遇する率は、内科系よりも外科系の医師が高い。(7)最もクレームが多いのは「手術」に関するものである。(8)今後は医療・医学以外にも患者への管理・監督責任が問題視されるだろう。(9)医事紛争が裁判に至るのは2割程度である。(10)医療裁判の審理期間は短縮される傾向にある。(11)医療機関の独力で解決を試みると逆に時間を要するので協会と協力する姿勢が重要と言える。
以上、エッセンスだけでもこれほどのことが会員にご報告できるのは、ひとえに会員と協会が長きにわたるお付き合いの中で協力し合って、とても一言では言い表せられないような様々な問題に対応してきたからである。先に述べた通り、協会は今後とも一層の努力を重ね、会員本位での医療安全対策を講じていく所存である。それを実行可能とするのは、会員次第ということを会員一人ひとりと協会が共通認識とすることが肝要と思われる。今後とも協会の医療安全対策及び医師賠償責任保険をよろしくお願いしたい。
※「医療安全対策50周年記念特集」は9月末メディパックで発送予定。