主張/個別指導に弁護士の帯同を 協会が斡旋しています
医療機関等に対する厚生労働省・地方厚生局の「指導」強化が進んでいる。例えば、従来保険診療の基本の周知徹底を目的としている新規個別指導においても09年度よりカルテ記載のない医学管理料、在宅医療点数算定等については該当レセプトに関して自主返還が求められるようになっている。
また、全国的には個別指導のやり方も指導医療官や事務官が威圧的態度や暴言的言葉使いで進めていく犯罪捜査まがいの「指導」が間々行われて来た。本省にはそれを更に強化せよと公言する医療指導監査官もいる。指導大綱にある「懇切丁寧に行う」とは程遠い実態がある。断固として跳ね返さなければならない。
元来指導とは、健康保険法73条等に定められた「厚生労働大臣の指導を受けなければならない」ものだが、その性格は「行政指導」であり、実施に当たっては、行政手続法32条の規定「任意の協力によってのみ実現される」ものである。これは厚労省も否定し得ない。したがって、例えば持参したカルテのコピーが取られようとすればそれを拒否することができる(絶対拒否すべきである)。また診療報酬の自主返還に応じる・応じないも規定の上では医師の任意である(もちろん、不正請求は許されず厳重に正されるべきである)。
そもそも3週間前に突然の通知が来て、なぜ自分が個別指導か? と思い当たらず不安に駆られる医師が多いのではないだろうか。通知時に選定理由を聞きたいところであるが、残念ながら現在のところ実現していない。協会では情報開示請求を行っている。
指導に際しての行政側の恫喝的態度等を許さず、本来の懇切丁寧な指導を実現する手立てとして、各地で弁護士の帯同・録音事例が増えてきた。厚労省も正式に帯同・録音を認めた。弁護士の資格は「代理人」であり、指導を受ける者の人権を守り、スムーズな進行を援助するものである。診療や請求内容の議論には一切立ち入らないことは各弁護士が強調しているところである。実際は、被指導者は緊張のあまり行政側の質問を聞き間違え、誤解を招く返答をしてしまう場面が多く、弁護士が耳元で囁いて修正できたケースが多数報告されている。
京都協会でも、今年より規定を定めて帯同弁護士の斡旋を開始している。2月19日の保団連近畿ブロック総会では、「指導・監査と保険医の権利」と題して帯同経験のある弁護士から報告を受け、各府県の顧問弁護士が経験交流も行っている。協会では事前の精神的プレッシャーに対してもサポート体制を整えている。指導の通知が来たら慌てることなく、恐れることなく、まず協会にご一報いただきたい。