主張/オリンピック開催を契機に超高齢社会への対応を  PDF

主張/オリンピック開催を契機に超高齢社会への対応を

 2020年、東京でオリンピックが開催されることが決定した。バブル経済崩壊後の「失われた20年」、2度の大震災と原発事故の後、久しぶりの心躍るニュースだ。

 1964年の東京オリンピックは、「戦後」から高度経済成長で一気に「先進国」に駆け上がっていった時代だった。高速道路や新幹線などのインフラが整備され、その後の日本経済発展の起爆剤になった。一方、大都市、特に東京一極集中が始まり、地方は疲弊し、その地域の特徴を失った。その東北が大震災に襲われた。

 オリンピックの開催は、経済効果が期待され、毎回、世界中で誘致競争が繰り広げられる。しかしアテネ大会後のギリシャはどうなったか。長野の冬季オリンピックでは、長野県の財政はかなり圧迫されたという。東北被災地の復興需要で、すでに建設労働者が不足し、材料費の高騰もあり、自治体が設定する予定価格では応札がない事態が発生している。ここにオリンピック需要が重なると、地方経済は更に疲弊するばかりか、被災地の復興にも支障をきたすであろう。

 しかしオリンピックは夢がある。

 パラリンピックも引き続き開催されるので、これを機会にバリアフリー化を進め、障害者や高齢者にとっても、世界一住みやすい国をつくってもらいたい。関連施設を利用した、子ども達のスポーツ育成は当然として、中高年者の健康対策にも利用すれば医療・介護費用の軽減にもなる。

 7年間は世界が注目している。

 東北復興と、福島原発事故にしっかり対応し、世界中から安心して訪問してもらえる国に戻してもらいたい。

 そして2020年の東京オリンピック開催が、超高齢社会に対応した制度とインフラ整備の原点になれば、団塊の世代が後期高齢者となる、2025年問題の解決にも役立つであろう。

 2020年の東京オリンピック開催が、中高年にとっては、自分の未来を描ける大会になることを期待する。

 少なくとも対中韓問題がこじれたり、福島原発の影響で、1940年のように開催権を返上する事態に陥らないことを願う。

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