主張/ともに学び、ともに手を携えて  PDF

主張/ともに学び、ともに手を携えて

 すでにご案内のように「『保険で良い医療』を実現する医療実践について考える—『開業医医療の復権』をめざして」というメインテーマで、第31回保団連医療研究フォーラムが、23年ぶりに京都で開催され、演題応募締切の3月末日は迫っている。

 いかにも長いテーマに、協会の苦慮がにじみ出る。初めは、国民皆保険制度や医療提供体制の先行きの緊迫した危うさから、地域医療を担ってきた“開業医医療の復権”が掲げられた。しかし、政治家やマスコミに煽られた、一般の方の誤った開業医像の増幅を危惧し、勤務医がともに考えていただけるテーマに、相当の議論の末、決まった経緯を伝えたい。

 さて、協会では、講演会等が適時開催されており、これまで一会員として、テーマについて知識不足故に躊躇いながらも出席してきたが、出席者が少なく勿体ない。協会の方針に基づくテーマに沿っているため、更に客観的に主張を検証して学び、より良い方向へ軌道修正して進むのが望ましい。会員からもテーマや演者を推薦いただき、虚心坦懐に検証した上で実施できると協働が進む。

 先日、生活保護費以下の収入で暮らす子育て貧困世帯が約14%に達し、92年からの20年間で倍増したという調査結果が報道された。必要な医療も十分な助成がなければ受けられず、保険医療が役に立たない生きにくさを慮る。保険医が、そのような世帯になにができるのか、途方にくれる。しかし、若者は、学力不足による負の連鎖を断ち、慈しんで学力を保障する家庭教師のボランティアを地域で確かに重ねている。

 思えば、新安保法案に賛否はあるとしても、国民主権から程遠い逸脱した進め方に異議を唱える先頭に立ったのも若者達であった。数のちからをもつ団塊世代のひとりとして、社会に目をこらし、学ぶ機会を捉え、若者とも手を携えてできることから進めたい。大学時代の朋友は、地域に根ざし信頼の厚かったクリニックをたたんで準備を整え、昨夏から福島の病院で働いている。

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