中医協臨時総会、実調の実施決定/「必ずしも改定につながらない」
中医協(会長=森田朗・東京大大学院教授)は6月3日、臨時総会を開き、東日本大震災の影響を把握しながら医療経済実態調査(実調)を実施することを決めた。診療報酬改定を実施するかどうかの判断は厚生労働大臣の専権事項であることや、実調の実施が必ずしも改定の実施につながるわけではないと厚生労働省が説明したため、前回の総会で実調に「待った」をかけた診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)も理解を示した。厚労省は6月4日にも調査票を発送する。
ただ鈴木委員は、次期改定に使えるデータかどうか調査結果の分析が必要としたほか、単月の調査期間が2011年6月分だけでは実態を把握できないとして調査期間に一定の幅を持たせることなどを併せて要望した。
一方、支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「完璧に実態を反映した調査は難しいかもしれないが、調査を行わなければ失うものが大きすぎる。被災地に配慮しながらできる範囲で調査し、その他のデータと比較しながら影響度を評価すべき」と主張。最終的には森田会長が「引き続き検討が必要なものは調査実施小委員会で議論することとし、中医協では承認する」とまとめた。
厚労省案によると、実調の調査対象期間は、09年度分、10年度分、11年度6月単月分のデータ。厚労省は調査結果を踏まえて6月単月分以外のデータを取るかどうかを検討する方針。特に甚大な被害を受けた▽損害保険全損区域▽郵便物等の配達困難地域▽原子力災害による避難区域─などは調査対象から外す。その他の被災地については事前に電話で協力要請した上で調査票を送る。
調査票には自由記載欄を設け、震災の影響把握に努める。入院や外来の患者数、患者1人当たりの平均収益の増減、医療機関従事者の異動の影響、前回改定の影響などを自由に書き込めるようにする。集計段階では、全国規模の集計のほかに、被災地を除いた集計や、被災地の回収率を補正するデータ集計なども行う。さらに厚労省のメディアスデータや、毎年7月1日時点の施設基準の届出状況報告、医療施設動態調査、病院報告等、毎月勤労統計調査、被災自治体の調査なども活用し、震災の影響を考察する予定。
実調の調査票は6月4日にも発送し始める。回答期限は7月末。8−9月に調査票の不備補正や照会、集計、分析を行った上で、10月の調査実施小委員会と総会で結果を発表する。(6/6MEDIFAXより)