中医協が14年度改定「個別改定項目」を公表 「地域包括ケアシステム」構築へ布石を打つ  PDF

中医協が14年度改定「個別改定項目」を公表 「地域包括ケアシステム」構築へ布石を打つ

 中医協は1月15日、2014年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理となる「現時点の骨子」を公表した(グリーンペーパーNo.209にて既報)。また、29日には、「個別改定項目」(具体的内容が紹介され、点数のみ○印とされたもの。通称「短冊」と呼ばれる)が公表された。その重点課題は「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等」である。

機能分化・強化を重点に三つの柱で見直し提示

 「外来の機能分化の推進」では、「主治医機能を持った中小病院及び診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対して、継続的かつ全人的な医療を行うことを評価する」として、再診時の包括点数である「地域包括診療料(月1回)」を新設。算定要件が厳しく、診療所の場合は、(1)時間外対応加算1を算定(2)常勤医師3人以上在籍(3)支援診である−の条件を全て満たす必要がある。

 一方、診療所のみが対象となる「地域包括診療加算(1回につき)」も新設される。(1)時間外対応加算1又は2を算定(2)常勤医師3人以上在籍(3)支援診である−の条件のいずれか一つを満たす必要がある。

 両点数とも、対象は高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上(疑いを除く)を有する患者で、薬剤料は包括されず、当該点数を算定している場合は、7剤投与の減額規定の対象外となる。その他、患者の健康管理、介護保険に係る業務の実施等が、算定要件となる。診療料、加算はどちらか一方に限り届出することができる。

 次に、「効率的な入院医療等の評価」では、最初に急性期病棟の見直しがあげられている。看護職員配置7対1、10対1の一般病棟においても、90日超の長期入院患者であっても特定の状態にある者を平均在院日数の計算に入れなくても良いという制度を廃止する。同時に、重症度、医療・看護必要度の評価を見直すほか、7対1においては自院から退院した患者割合に関する基準を新設するなど、急性期病棟に入院する患者を限定していく。次回改定以降も見直しを進めることで、現在一般病床全体の85・1%を占める7対1(35万床)、10対1(21万床)を、25年度までに高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期等26万床に振り分けていく。

 療養病床等では、透析患者受け入れ促進のための評価の新設や、超重症児・者等の受け入れ促進のための算定対象患者の拡大を行う。在宅復帰率に対する評価を新設し、在宅医療との連携を促す。

 常勤の管理栄養士の配置義務については、病院は一定の経過措置後、減算措置が導入される。有床診は配置義務はなくなったが、入院基本料を引き下げた上で、常勤の管理栄養士が配置される場合には加算が導入される。

在宅医療は算定要件の厳格化を導入

 「在宅医療の促進」では、他医療機関と連携して機能強化型の基準を満たしている支援診・支援病について、各医療機関での緊急往診、看取りの実績を求める。一方で、常勤医師3人以上は確保されていないが、緊急往診、看取りの実績が十分な支援診・支援病の加算を新設する。在宅時医学総合管理料等については、支援診・支援病以外の評価を引き上げるとともに、同一日に同一建物居住者を複数人診療した場合の評価を引き下げる。また、訪問診療料の算定要件を厳格化するとともに、同一建物居住者の場合の評価を引き下げる。

 以上、国が描く「社会保障・税一体改革」での医療と介護の提供体制を25年までに成す過程とした、政策改定の様相を強く帯びている。

 中医協は1月29日で「個別改定項目」の議論を終了。支払側・診療側で折り合いがつかなかった初・再診料等への消費税補填の配分は、公益委員の裁定に委ねられたが、その他はほぼ、決着したとみられる。

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