中医協、一体改革2025年の絵姿へ論議開始
「社会保障・税一体改革成案」に描いた2025年の医療提供体制実現に向け、中長期的な制度改革論議が中医協総会(会長=森田朗・東京大大学院教授)で始まった。厚生労働省は10月5日、「入院・外来・在宅医療について(総論)」と題する資料を提示。医療提供体制と診療報酬の在り方に関する「総論」という位置付けで、入院・外来・在宅医療の観点から、現状の課題と今後の方向性を整理した。厚労省の描く絵姿に対して、各側委員から異論は出なかった。中医協は次回以降、各論に入る。厚労省は、在宅医療は11月前半に、入院診療と外来診療は11月後半に、それぞれ論点整理を示す。
各側委員からは、25年の共通目標に向かって中長期的視点で医療制度改革論議を進めていくことに期待感を示す声が相次いだ。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「事務局がこれだけ一体的な案を出したことに敬意を表する」と切り出し、「これまでは改定のたびに、担当課長が視線を注ぐ場所が変わっていた。だが、政策は一貫性を持つべき。改定後に課長が代わっても、この議論をさらに修正しながら進めていくべきだ」と述べ、「中医協で議論を尽くし、最終的なものが出来上がったら、閣議決定ではないけれども、アンカー(碇)を下ろしてほしい」と要望した。改定後、中医協の議論が振り出しに戻らないよう、厚労省にクギを刺した格だ。
続いて支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)も「安達委員の意見に賛成」と述べ、制度改正では「連続性」が重要になると強調した。白川委員は「担当課長や政権が変われば環境自体変わる。(25年の)理想像を描いても、その通りに改革が進むという確証はないが、中医協の役割は2年に1度の診療報酬の値付けだけではないと思う。そういう意味では、アンカーを打つ(閣議決定する)というのは現実的には難しいかもしれないが、その気持ちを委員一同で持ちたい。政府にも、長期的視野でどのような政策を実現していくか、イメージを持ってほしい」と述べた。
嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)も「医療課長が代わってもこれを残したい。今回のものは合理的だと思う」と賛同した。
厚労省保険局の鈴木康裕医療課長は「確かに今までの改定はその時の小手先の議論だった。先を見越し、一定の共通認識の下に個別課題に取り組むことが必要だと思う」と答えた。
森田会長も「これまでは次期改定論議に集中し、残された課題は先送りされてきた。少し中長期的な展望を持ち、それを踏まえて議論していくという方向性に異論はなかった」と議論をまとめた。(10/6MEDIFAXより)