中京東部医師会と懇談  PDF

中京東部医師会と懇談

3月12日 京都府保険医協会・会議室

ホールディングカンパニー型法人の狙いに警鐘

 協会は、3月12日、中京東部医師会との懇談会を開催した。当日は地区から5人、協会から6人が出席した。司会は中京東部医師会理事の安野哲也氏。同会会長の岩野正宏氏が、「当地区の構成員はテナントに入居しての開業が多いため、地域医療という意味での医療・在宅医療に携わっている医療機関が非常に少ないという特性があり、情報にも疎い。そのため本日は、在宅医療や介護等が医療・介護提供体制と医療保険制度の一体的改革によって何がどのように変わり、現場にどのような影響をもたらすのかを勉強したい」とあいさつした。
 垣田理事長のあいさつ、協会から情報提供の後、意見交換を行った。
 地区からは、国が目指している道筋がおぼろげながら見えてきた。医療・介護提供体制を変えていく中で、非営利ホールディングカンパニー型法人制度や、新専門医制度がバラバラではなく一つの方向に向けて組み込まれていることが理解できた。ホールディングカンパニー型法人制度は、小さな法人病院が地域で一体的経営をして囲い込みをするのかと思っていたが、そんな小さな話ではなくもっと大がかりなことだと理解できたと述べられた。
 これに対し協会からは、非営利ホールディングカンパニー型法人制度の本当の狙いは、都道府県が各病院・有床診療所から病床機能報告をさせて、その報告をもとに地域医療構想を作り病床規制をすることにある。いずれ無床診療所にも機能報告を求め、地域における専門医や医療機関の必要数を定め配置規制を行うことになるのではと危惧している。開業医を勤務医化させて、ホールディングカンパニーという一つの組織の中に組み込み、都道府県等のトップの意思決定下に置くための制度ではないかと警鐘を鳴らした。
 地域包括ケアシステムに対しては、地区医師会に「川下の改革」の受け皿作りを担えと言われても、医師会の会員の方向性が一致しているわけでもなく、対外的な窓口も事務局もない。このような脆弱な地区医師会が川下の改革に対応していけるのか疑問だ。川下の改革のようなことを意識して開業している人がどれだけいるのかも疑問だ。地区医師会にも入らない、その他の医療関係団体にも入らない、地域の活動にも参加しないという人が増えている中で、非常に難しいと思う。地区医師会の機能を強化しないと地域包括ケアシステムで期待される役割は荷が重いと不安が示された。
 その他、新専門医制度については地区から「日本専門医機構」なる組織が専門医を認定することで生じる混乱の予想や諸外国の制度紹介が述べられ、協会には医療政策に対する提言を行ってほしいなどの要望が出された。

ページの先頭へ