与謝の海病院が府立医大の附属病院に シンポジウムで期待と不安の声  PDF

与謝の海病院が府立医大の附属病院に
シンポジウムで期待と不安の声

 府立与謝の海病院は2013年4月から府立医科大学の附属病院となり、京都府立医科大学附属北部医療センターとなった。その開設にあたり京都府主催のシンポジウムが3月10日に開催された。

 附属病院化の経過については、11年8月から12年2月までの有識者会議の検討結果を受けて、同年2月府議会において知事が附属病院化の意向を表明、知事表明から1年弱での開設となった。

 当日は、地域医療確保の「京都モデル」として、(1)診療機能の充実・強化(「総合診療科」設置、救急医療体制強化、認知症への対応やリハビリ機能充実、高度医療・専門医療の提供)(2)医師派遣機能等の充実・強化(3)更なる地域医療の連携の推進―を3本柱に具体的施策を進めていくと京都府の担当者から説明があった。

 パネルディスカッションは「新たな地域医療の展開」をテーマに、太田貴美氏(与謝野町町長)、赤木重典氏(京丹後市立久美浜病院長)、中川長雄氏(与謝医師会会長)、山脇正永氏(京都府立医科大学総合医療・医学教育学教授)の4人が今後の与謝の海病院の役割について意見を交わした。座長は京都府健康福祉部・横田昇平医療専門監。

 太田氏は、住民の期待として、(1)救命救急センター設置(2)脳外科手術できる体制(3)精神疾患の入院―3点の要望を挙げた。

 赤木氏は、丹後医療圏は医療資源の絶対的不足から都市部のように代替が存在せず、「最後の砦」として救急に対応している自院の現状を報告。丹後では重症患者の1回の要請での受け入れ割合が高く、逆に軽症の場合はいつでも受け入れていることから割合が低い。こうした現状を正しく評価して将来を考えてほしいと述べた。また多様で実効性ある医師派遣の要請に応えるセンターとして機能してほしいと要望した。

 中川氏は、地区内唯一の2次救急であり、地域医療支援病院として開業医の後ろ盾であること、僻地医療への医師派遣など中核病院としての今以上の役割を期待することに加え、がん手術のできる病院になってほしいと要望。また、附属病院化が地域にとって良いことであったのか見ていきたいとの発言があった。

 山脇氏は、北部医療の将来を見据え、地域とともに歩む医師教育が必要であり、地域の病院・診療所と大学病院が連携しながら患者中心の医療を考えたいと述べた。

 住民からは、1日も早い脳神経外科の入院・手術の再開要望や、附属病院化で医師の入れ替わりが早まるのではないかと不安視する意見が出された。

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