与党側は「心強い」、「認識甘い」と野党/施政方針演説
「いのちを、守りたい。いのちを守りたいと、願うのです」―。鳩山由紀夫首相は、約50分間に及んだ施政方針演説で「いのち」という言葉を24回繰り返し、「命を守る政治」の実現を訴えた。与党議員は「心強い。社会保障立国への宣言だ」と評価する一方、野党側からは「医療崩壊への認識が甘い」との声が聞かれた。
●「医療費抑制政策からの決別」/民主・山井政務官
民主党の山井和則・厚生労働大臣政務官は、衆院本会議終了後、「命を守る一番直接的なものは医療。医療を一番重視されるんだなと、非常にうれしく、心強く感じた」と感想を語った。「社会保障費の抑制や地域の医療現場の軽視によって、国民医療は崩壊寸前」との一文が盛り込まれたことについて「非常に重い」とし、「これまでの医療費抑制政策からの決別、社会保障立国を目指すという宣言と受け取った」と述べた。
さらに、山井政務官は「国民の命を守ることは政治の最大の責任。それがないがしろにされてきたから政権交代が起こった」と強調。「政府の一員として総理の言葉を重く受け止めている。責任を持って取り組みたい」と表情を引き締めた。
●「政策論議で矛盾指摘したい」/自民・加藤厚労部会長
一方、自民党の厚生労働部会長を務める加藤勝信衆院議員は、「(診療報酬の)中身を入れ替えることは否定はしない。それだけで、崩壊寸前と言われる今の医療状況を本当に変えられるという認識ならば、甚だ甘すぎる」と述べ、衆院選のマニフェストに掲げた水準まで財源を投入していない政府の医療政策を批判した。
ネットで0.19%(医療費ベース700億円)のプラス改定となった2010年度診療報酬改定率に関しては「後発品の置き換え(長期収載品の追加引き下げ)で600億円のマイナス。実質100億円の増額でしかない」とあらためて指摘。今後の国会運営に向けては「政策論議を徹底的にやっていきたい。しっかりと矛盾や問題点を指摘していきたい」とし、政策面を中心に政府を追及する構えを見せた。(2/1MEDIFAXより)