上手なリタイアとは/経営対策セミナーで解説
協会は7月12日に経営対策セミナーを開催。セミナーは2部構成で、第1部は「上手なリタイアの方法〜後継者にスムーズなバトンタッチをするための準備〜」と題して、株式会社日本経営エスディサポート、課長代理の塚本康史氏が講演。第2部は「税制改正の流れと相続対策〜対策なき税金を将来の機会損失と捉えるために、今からすべきこととは〜」と題して税理士法人日本経営・税理士矢野弘樹氏が講演した。
塚本氏は、スムーズに後継者にバトンタッチ(承継)するために、個人診療所と法人の場合に分けて解説。個人診療所の場合は、相続や贈与の観点から対策を考える必要があり、院長交代のタイミングも税務上の問題を意識すること。保健所・厚生局ともに廃止・開設の手続きが必要で、各種指定も新規に手続きが必要。引き続き診療を継続する場合は、遡及指定の申請も要すると実務的なアドバイスを行った。
さらに、診療所における承継のポイントは、?承継後の診療所経営の安定を第一に考える、?経営課題は事業承継までに筋道をつけておく、?財産分与について筋道をつけておく(数字に表しておくべきものはすべて明確にしておく)、?不安や未練があるうちは譲らない。譲ると決めたら割り切る、?新しい目標ややりがいをみつける、?営業権に過度な期待を持たないことだと解説。第三者承継の場合、買い手側の関心は支出の総額に絞られており、売り手の思惑が通らないのが実状だとした。
医療法人を承継する場合は、「経営そのものの承継」と「出資持分・社員の承継」の両面の配慮が必要。医療法上、社員・役員・出資者は独立している。社員・役員の変更を行い、保健所・厚生局には変更届を提出する等の解説を行った。
矢野氏は、近年の税制改正で、相続税は継続審議となっているが、基礎控除の縮小、死亡保険金の非課税金額の見直しが遡上にのぼっている。税金をコストとしてとらえ、経営者としてどう対応するかを検討する必要がある。税制改正も視野に入れて生前贈与の活用、財産の転換等を検討する。事業承継を検討する際には、シミュレーションを行い、財産状況を把握し財産の承継に道筋をつけるとよいと説明した。
承継のポイント等に耳を傾ける参加者