一般診療所ほぼ横ばい、15対1ダウン/実調
厚生労働省が11月2日の中医協総会に報告した第18回医療経済実態調査の結果によると、一般病院をはじめ特定機能病院、DPC対象病院、こども病院、療養病床60%以上の一般病院などが軒並み改善傾向を示した。再診料が2点引き下げられた一般診療所でも、黒字幅が圧縮されることなく、ほぼ横ばいで推移した。一方で、前回改定で一般病棟入院基本料の中で唯一引き下げられた15対1入院基本料については、単月データ(2011年6月)ながら損益差額が大幅にダウンするなど、前回改定の影響を反映する結果になった。
今回の調査票回答施設数は、病院1561施設、一般診療所1540施設、歯科診療所668施設などで、有効回答率は6割には達しなかった。10年度診療報酬改定を挟んだ2年間分の通年データで病院機能別に損益差額の推移を見ると、一般病院(集計1=介護収益の割合が2%未満の医療機関)の損益差額は09年度のマイナス2.5%から10年度はマイナス0.1%と大幅な改善傾向を示した。病床規模別に見ると20床−49床、50−99床、100−199床、200−299床の4群はいずれもマイナスの損益差額がプラスに転じた。300−499床、500床以上は、損益差額はマイナスながら赤字幅が縮小した。
特定機能病院もマイナス9.7%からマイナス5.8%に、DPC対象病院はマイナス3.2%からマイナス0.4%へと、ともに改善傾向を示した。
08年度改定、10年度改定ともに重点課題になってきたこども病院については、損益差額はマイナス9.3%からマイナス6.2%となり、依然としてマイナスだが赤字幅は縮小した。小児入院医療管理料を10年度改定で再編し、新たな区分を新設するなど、小児医療の評価を充実したことが影響しているとみられる。
●精神科病院は通年データで赤字幅拡大
一方、精神科病院については、損益差額が単月データで黒字幅が拡大し、通年データでは赤字幅が拡大。2つのデータで相反する結果となった。精神科病院をめぐっては、10年度改定で精神療養病棟入院料が引き下げられている。
一般診療所(集計2=調査に参加した全ての医療機関の集計)を診療科別に見ると、入院診療収益のない場合(無床診療所)で損益差額が縮小したのは、精神科(調査客体数22施設)、整形外科(同112施設)、眼科(98施設)の3診療科。入院診療収益がある場合(有床診療所)では外科(同18施設)だけだった。11月2日の中医協総会では、調査客体数の少なさを問題視する意見があった。(11/4MEDIFAXより)