一体改革素案/消費税の段階的増税を明記
受診時定額負担の導入は見送り
政府・与党は1月6日、社会保障改革本部を官邸で開き、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることを柱とした「社会保障・税一体改革素案」を正式決定し、閣議報告した。野田首相は与野党協議で合意を取り付けた後に大綱を閣議決定し、関連法案の3月末の国会提出を目指す方針。
医療・介護部分の焦点となっていた受診時定額負担は、この間の反発を受けて「患者間で負担を支え合うことになる」などから盛り込まず、それを財源として見込んでいた高額療養費制度の見直しは、財源を確保した上で年間の負担上限額を設け「年収300万円以下程度の所得が低い方に特に配慮する」とした。70〜74歳の患者負担は12年度も1割に据え置く。後期高齢者医療制度は廃止を明確化させるため12年通常国会に「法案を提出する」とした。
提供体制については、1. 病院・病床機能の分化・強化、2. 在宅医療の推進、3. 医師確保対策、4. チーム医療の推進―を柱に、同時改定、医療計画への位置付け、医療法等関連法の順次改定を予定する。これらにより、急性期病床の位置づけを明確にし、一般病床でも在院日数短縮を進め、早期に在宅へ移行、医療と介護の連携(実際には介護中心)で支えるシステム化の流れが示されている。
素案の描く社会保障と税のあり方の将来像は、国の社会保障に対する公的責任を後退させて地方が責任を負うものにつくりかえること、同時に社会保障へ投入する公費財源を大衆課税である消費税で賄うことを内容としている。協会は現場の実情に基づいた地域医療のあり方を、今後も国・自治体に提言していく。