一体改革案を決定、消費税10%明記/高齢者2割負担は削除
政府・与党は6月30日、「社会保障改革検討本部」(本部長=菅直人首相)の会合を開き「社会保障・税一体改革」の成案を決定した。「70−74歳の2割負担」を削除して「高齢者医療制度の見直し」と表現し、例として「自己負担割合の見直し」を挙げるなど民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」の主張を取り入れた。消費増税は「2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げ」という記載で着地。増税には経済状況の好転を「前提」ではなく「条件」とする。閣議決定は、今後進める与野党協議で合意した後に行う。税制抜本改革に必要な法制上の措置は11年度内にするが、消費税の引き上げは選挙後となる。
●OECD水準踏まえた制度設計
「受診時定額負担」についても抜本改革調査会の主張をくんで、低所得者に配慮する文言を盛り込んだ。社会保障改革の基本的考え方として「OECD先進諸国の水準を踏まえた制度設計を行う」との記載が入ったが「総医療費のGDP比をOECD並みにする」といった踏み込んだ記載にはならなかった。
与謝野馨社会保障・税一体改革担当相は検討本部終了後の会見で「私から党側に対し『10年代半ばというのは、14−16年度ということでよいか』と尋ね、それでよいと確認した」と説明。与謝野氏は常々、「15年度までに」の明記は堅持すると主張していたが「15年度にプラスマイナス1ということ。後退はしていない」と述べた。
成案は、消費増税5%のうち、実質的な社会保障の機能強化といえる「制度改革」に充てる分を1%相当と明記した。6月29日の抜本改革調査会では玄葉光一郎政調会長が「1%にプラスアルファはあり得る」としていたが、与謝野氏は「配分はこれから全てのことをやるときの大きなフレームを示している。この大きなフレームを変えることはない」と、5%の割り当ては変更しないと言い切った。
閣議決定を先送りすることへの批判に対しては「7月1日の閣議に成案を報告し、この成案で与野党協議に臨むということが了解される。政府も与党も責任を持って決めた案であることは公知の事実」と主張した。
●番号制度の名称は「マイナンバー」
社会保障改革検討本部はまた、会合で「社会保障・税番号大綱」も決定した。11年秋以降、速やかに国会に法案を提出する。番号の名称は「マイナンバー」に決まった。(7/1MEDIFAXより)