一体改革・TPP、結論先送り示唆/首相「あらためて検討必要」
菅直人首相は3月29日の参院予算委員会で、社会保障と税の一体改革や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加について、6月としていた結論の取りまとめ時期の先送りを示唆した。
菅首相は「(東日本大震災の)被災者支援がまだ極めて重大な状況で、復興という問題も控えている。原発事故には、高い緊張感を持って当たらなければならない状況が継続している」との認識を示した。その上で「まず現在の状況を何とか軌道に乗せる、安心できる方向にしていくことに全力を挙げている。この状況に一定の方向性が見えた中で、あらためて検討することが必要ではないか」と述べた。
政府は4月に社会保障改革案を示し、6月に消費税を含む税制改革案をまとめる方針だった。TPPも6月に関係国との交渉参加の是非について判断することとしていた。
●復興支援の補正予算、4月中に編成
菅首相はまた、東日本大震災の復興支援について「2011年度予算案が成立すれば、4月に震災対策のための補正予算について与野党を含めて議論いただかなければならない」と述べ、4月中に11年度補正予算を編成する方針を表明。「これだけの大震災が発生した中で、優先度を考えなければならないのは当然だ。歳入・歳出両面からの工夫が必要になる。何に財源を振り向けるか与野党で議論し、合意形成を図りたい」とし、復興財源確保のため民主党マニフェストを見直す考えも示した。
法人税についても「未曽有の大震災への対応として、どういう財源が優先するか検討したい。大きな選択肢の一つだ」と述べ、11年度の引き下げ見送りに言及した。(3/30MEDIFAXより)