一体改革「素案」、年内めどに取りまとめ/政府・与党改革本部
政府・与党社会保障改革本部(本部長=野田佳彦首相)は12月5日、初会合を開き、野田首相は社会保障・税一体改革成案を具体化した「素案」を年内をめどにまとめるよう関係閣僚らに指示した。素案取りまとめに向けて政府・与党間で十分に調整し、社会保障の機能強化について国民に分かりやすく示すよう求めている。野田首相は、一体改革の重要性をこれまでも訴えてきたとして「この改革に不退転の決意で臨む」と述べた。
野田首相は初会合で、一体改革が必要な背景として次の3点を挙げた。1団塊世代が支えられる側に移行する中、持続可能な社会保障制度の構築が急務2子育てや若者の就労など支える側の社会保障充実が必要 3日本が財政規律を守る国かどうか世界や市場から注目されている―。これらの点に触れた後、「際限なく先送りできるテーマではないということを皆さんと共通認識として持ちたい」と語った。
素案取りまとめに向けて政府側は、藤村修官房長官、古川元久社会保障・税一体改革担当相、小宮山洋子厚生労働相、安住淳財務相、川端達夫総務相の5大臣を中心に調整する。初会合終了後、古川担当相は記者団に対し、近く5大臣で会合を開く意向を示し「議論の先行している社会保障制度について小宮山大臣から検討状況をうかがいたい」と述べた。
初会合では、厚生労働省の社会保障改革推進本部が12月5日にまとめた中間報告について小宮山厚労相が報告。民主党の社会保障と税の一体改革調査会の議論の状況について、会長の細川律夫前厚労相が説明したという。
●「大綱」から「素案」に修正
「成案を具体化して、超党派での議論に付す素案をお取りまとめいただきたい」。初会合で野田首相は関係閣僚らにこう呼び掛けた。一体改革取りまとめに向け、政府内の事務方は年内の「大綱」策定を想定していた。改革本部の前身である改革検討本部は6月、政府・与党の合意で社会保障・税番号大綱をまとめた経緯もある。大綱から素案に名称を修正したのは、官邸の意向とみられる。ただ、取りまとめに向けた今後の作業に大きな変化が生じるわけではない。「『素案』の内容は(これまで事務方が想定していた)『大綱』と同じ」と政府関係者は語る。
政府は素案をまとめた後に、野党に協議を呼び掛ける構えだ。野党側の理解を得られれば一体改革大綱をまとめ、2012年3月までに国会に関連法案を提出するスケジュールを描いている。野党協議を重視する背景には消費増税があるが、民主党議員の一人は、11月末に成立した復興財源確保法をめぐる与野党対立も影響していると分析する。同法案は閣議決定された後、復興債の償還期間などに関する野党側の反発があり、修正を余儀なくされた。「政府・与党でどれだけ時間を費やして大綱策定、法案提出をしても、その後に修正されれば、それまでの議論は何だったのかという話になる。その反省もあり、素案という表現になったのだろう」とこの議員は語った。(12/6MEDIFAXより)