ワクチン行政で改革私案/予防接種検討会の加藤座長
厚生労働省の「予防接種に関する検討会」の加藤達夫座長(国立成育医療センター総長) は12月26日の会合で、会議の組織体制や議題の進め方を抜本的に見直す改革私案を提示した。ワクチンごとにワーキンググループ(WG) を設置して、ワクチンの有効性・安全性・医療経済効果を評価し、国民に分かりやすく情報提供したい考え。加藤座長は、日本の予防接種政策が諸外国に比べて遅れていることを踏まえ、アドバイザリーボードとしての機能を強化する必要があるとした。米国のワクチン接種諮問委員会「ACIP」を参考に、同検討会を“日本版ACIP”に位置付けたい考えだ。今後、厚労省健康局結核感染症課を中心にワクチン行政の在り方を議論する。
加藤私案によると、健康局長の諮問会議という位置付けは変わらない。ただし、同検討会の下部組織として新たに作業部会を設置し、その下にWGを設ける。WGでは疫学データに基づきながら、ワクチンごとに有効性・安全性・医療経済効果を評価して、定期接種に加えるかどうかの判断材料をつくる。加藤座長がWGを設置する際の具体例として挙げたのは、水痘、Hib、HPV、結合型肺炎球菌、成人百日咳などのワクチン。米国の予防接種スケジュール作成基準や疫学調査報告なども参考にする。
WGでまとめられた報告書は、作業部会で十分に検討されたのち、同検討会に提示される。
同日の検討会では、開発中の組織培養日本脳炎ワクチンの予防接種対象者についても議論を深めた。開発中のワクチンは2008年にも承認される見通しだが、供給量が不足すると予想されている。同日は、接種回数や接種年齢、接種者の地域などについて優先順位を議論したが、供給量の見通しが立たないことから結論には至らず、次回以降に議論を継続することになった。(1/5MEDIFAXより)