ワクチン問題を巡るこれまでの協会の活動と情勢
日本は、WHOが推奨するワクチンの約3分の1は任意接種のままか、ワクチン導入すら達せられていない状況にある。協会では、「ワクチン後進国」と言われるような日本の予防接種行政の早急な改善を求め、さまざまな活動を展開してきた。
国に対しては、今年2月、保団連に協力してワクチン問題に関する国会内学習会を開催。また、厚生労働省の担当者にワクチン行政の改善を要望した。
自治体に対しては、ヒブワクチンなどの定期接種化を国に訴えるよう、会員署名412筆を携え、陳情活動を行った。京都府及び11市町村議会では、国に対し、「細菌性髄膜炎から子どもたちから守るワクチンの早期定期接種化を求める意見書」が採択されている。
このような活動を受けて、厚労省は、「子宮頸がん予防ワクチンの公費負担事業」として150億円を11年度予算概算要求に盛り込んだ。
また、厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会では、予防接種法全体の改正、具体的には、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方、接種費用の負担のあり方、予防接種に関する評価・検討組織のあり方等について議論を始めている。8月27日には、部会の中に「ワクチン評価に関する小委員会」、さらにその下に作業チームを設置。今後の予防接種法抜本改正に向けた議論を進める体制がようやく整った。ポリオの生ワクチンの問題など解決すべき課題は多いが、その中で少なくとも、HPVワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなどについては定期接種化への強い要望を受けての議論が進みつつある。