ワクチン再開「検討は早期に」/日医・保坂常任理事、接種後死亡で
日本医師会の保坂シゲリ常任理事は3月9日の定例会見で、小児用肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンなどの同時接種後に乳幼児5人が死亡し、厚生労働省がワクチン接種の一時見合わせを決めたことについて「厚労省の迅速な対応に賛成する」と表明した。同時に、ワクチン接種を再開するかどうかの結論を急ぐ必要があるとの考えも示し「なるべく早期に今後のことを検討すべき」と指摘した。
保坂氏は、亡くなった5人に哀悼の意を示した上で「子どもの死は人々にとって重く、ともすれば冷静に判断できなくなることがある。だが、すべての子どもを守るためには、冷静に真摯に検討し、行動しなければならない」と述べた。従来の予防接種行政では、問題が起きるたびに時間をかけて検証し、結果として海外との20年間の“ワクチンギャップ”が発生したとも指摘。今回の同時接種後の死亡例検証については「ほぼすべての関係者がすぐに結果を出さなければならないという認識で一致している」と述べた。
保坂氏は、3月8日に出席した厚生労働省の合同会議を振り返り「亡くなった5例を検証すると、予防接種との関係を積極的に支持する内容ではなく、ワクチンが危険ではないということは分かった。だが、統計的なものも含めてデータが足りず、もう少し情報を集めようということになった」と説明。日本にはワクチン接種した小児と非接種小児の死亡を統計的に比較するシステムがない点も問題視し「リアルタイムとはいかなくても、早期に検証できる仕組みをつくっていきたい」と述べた。(3/10MEDIFAXより)