レセプトオンライン化「強い憤り」/日医・医療IT委員会が中間答申
日本医師会の中川俊男常任理事は2月4日の定例会見で、日医・医療IT委員会が、レセプトオンライン請求の義務化について「強い憤りを禁じ得ない」として反対する中間答申を唐澤人・日医会長へ提出したと発表した。中川常任理事は「執行部にとっては大変、力強い、極めて示唆に富んだ中間答申だ」と述べ、オンライン請求の義務化を撤廃し「手挙げ方式」に改めるよう、引き続き関係方面に働き掛ける考えを強調した。
医療IT委員会は2008年7月、唐澤会長から「医療のIT化の光と影」について諮問を受け、10年3月末の答申を目指し議論を重ねている。その中で15人の委員全員が「レセプトオンライン請求義務化はとりわけ重要な問題であり、早急に委員会としての意見を取りまとめるべきだ」との意見で一致したため、今回、中間答申をまとめた。
中間答申では「全国の約1万3000医療機関が手書きでレセプトを作成している」と指摘。「これらの医療機関は、これまでも今後も、レセコンを必要としていない。仮にレセコンを無料配布しても、使用する必要性はなく、入力作業を行う事務員もいない」とした。また、オンライン請求には、専用のパソコン購入や維持などのコストが発生すると説明。セキュリティーについても「現状の方式では、医療機関からの患者情報流出が発生する可能性が極めて高くなり、今後、訴訟問題が発生する可能性もある」と警告している。
その上で、11年4月のオンライン請求義務化から除外される「少数該当」について、要件の月間レセプト提出件数を300件程度にまで緩和すべきと提言した。レセプト電算処理システムを導入している医療機関への対応については「患者情報流出の危険性をはらむ手法を、あえて全医療機関に強要する手法には、法律理念を越えた厚労省自らの省益があるのではないかという疑念を持たざるを得ない」と指摘。「電子媒体の審査支払機関への直送方式の優位性を主張すべき」などとした。
中川常任理事は会見で「(レセコンを持つ病院・診療所の)オンライン請求義務化期限の10年4月は診療報酬改定と同時期で、このままでは大混乱を起こすのは必至」と危機感を表明。藤原淳・日医常任理事とともに1月30日、自民党の社会保障制度調査会・医療委員会の鴨下一郎委員長と加藤勝信事務局長を訪問し、完全義務化の撤廃を申し入れたことを明らかにした。両氏からは「(完全義務化撤廃に向け)精力的に行動する」との回答を得たとした。(2/5MEDIFAXより)