レセプトのオンライン請求Q&A(14)
オンライン請求義務化撤回訴訟について
Q、神奈川県保険医協会が中心となり、1月21日に提訴されたレセプトの「オンライン請求義務化撤回訴訟」について、京都府保険医協会も会員に参加を呼びかけていますね。訴訟は「オンライン請求の義務がないことの確認」を求めていますが、オンライン請求に反対の立場とはどう違うのですか。
A、光ディスク等による請求やオンライン請求(=ひっくるめて「レセプト電算処理システム」参加による請求)が、単に請求方法の選択肢の一つであるなら、保険医の意思で、光ディスク等による請求やオンライン請求を選択することに、保険医協会は反対しません。
しかし、政府が頑なに実施しようとするオンライン請求の義務化は、(1)「レセプト電算処理システム」に対応していないレセコンを使っている医療機関に買い替えやヴァージョンアップを強制し、オンライン請求に関する対応を強制する、(2)11年4月以降、手書き医療機関にもレセコン購入と事務職員の教育・雇用や、オンライン請求に関する対応を強制する、(3)請求件数が少ない手書き医療機関(09年4月から10年3月分までの請求件数が1200件以下)にも13年度以降は(2)の対応を強制するものであり、対応できなければ、保険医療機関でありながら診療報酬の請求ができなくなります。
神奈川協会が中心となって起こした訴訟では、オンライン請求の義務化は、A憲法22条1項に定められた職業選択の自由を侵害する、B法律事項であるべき請求権に対する新たな制限を、法律によらず省令により直接実現しようとするもので、憲法41条に違反し違憲無効である、と訴えています。
ちなみにお隣の国、韓国では90%以上の医療機関がオンライン請求していますが、義務化ではありません。韓国のオンライン請求の場合は、請求後15日以内に審査され、15日が過ぎた場合は90%が仮払いされる制度となっていることや、レセコンのプログラムの購入費用が安い(一桁違う)ことなど、利点があるため広まりました。高価なレセコンを国の政策で強制的に購入させようとする日本の事情とは、全く異なっています。