レセプトのオンライン請求Q&A(17)
知らぬ間に国民の情報が国の手に?
Q、本連載第14回(2月2・9日号)で触れていた「レセプト情報・特定健診情報等データベースシステム」構築の目的は何ですか。
A、大きな目的は高齢者医療確保法第16条に定められている通り、厚生労働省において、全国及び都道府県の医療費適正化計画の策定と実施、評価を行うため、調査・分析の手段として、レセプトデータと特定健診データを収集し、データベースを構築する、というものです。
データベースシステムのイメージは図1の通りです。また、構築の日程については図2の通りであり、09年度の後半にはデータの蓄積が始まる模様です。
これに加え、規制改革会議の第3次答申では、(1)前述のデータベースについて、民間開放を前提とした利用ルール確立せよ、(2)医療内容とその治療結果について客観的データ分析ができる環境が整うので、質に基づく支払い(Pay for Parformance)の導入を検討せよ、(3)オンライン請求化により審査・支払の自動化が進展し、保険者自身が直接審査・支払することが容易になるので、事前合意要件を撤廃せよ、と要求しており、昨年末には政府が「第3次答申を最大限に尊重する」と閣議決定しています。また、データベースシステムの入札仕様書を見ると、「将来的に個人を一意に識別できるID等が導入された際には、それを利用して個人の名寄せが可能となるように設計する」ことが求められており、社会保障番号による名寄せも盛り込まれています。
国民にとって重要な政策が全く国会の議論を経ずに、国民の知らないところでどんどん進められていることは、非常に問題です。
図1レセプト情報・特定健診情報等データベースシステム(仮称)イメージ図
図2医療費適正化計画の評価の流れ