リハビリは医療の大切な要 実態調査基づき担当官と懇談  PDF

 リハビリは医療の大切な要 実態調査基づき担当官と懇談

 次回改定におけるリハビリ点数の課題で、協会は京都府理学療法士会・京都府作業療法士会・京都府言語聴覚士会とともに、実態調査(本紙第2874号にて既報)に基づいた要望(下掲)を取りまとめ、12月16日に厚生労働大臣に提出した。今回の要望書提出は、倉林明子参議院議員の尽力で実現した。ここに感謝申し上げる。

 提出に際しては、厚労省保険局医療課の秋月玲子課長補佐と懇談し、調査結果と要望書の主旨を説明した上で、要望に対する意見と改定の見通しを聞いた。並河茂京都府理学療法士会会長、斉藤嘉子京都府作業療法士会理事、垣田さち子理事長、協会事務局の4人が出席した。

維持期リハビリは継続の方向

 中医協で要介護者の維持期リハについては経過措置の延長(2年)が提案されている。懇談でも、医療保険で維持期リハの必要があるというニーズは認識しており、中医協でも経過措置の延長に反対は出ていないとのことであった。ただ、今後の介護保険側の受け皿確保や、介護保険への移行の動機付けなどが厚労省として課題があるとのことであった。

廃用症候群のリハビリは厳格化の模様

 廃用症候群は中医協では要件を追加し厳しくする方向性が示されている。具体的には、他の疾患別リハビリテーション料が適用とならない理由を記載することが提案されている。その経緯については、運動器・心大血管・呼吸器の術後に廃用症候群のリハビリを受けている事例があること。なぜ廃用症候群のリハビリなのか理由が不明なことから、精査する必要があると説明があった。また、廃用症候群は本来避けなければいけない病態であり、そのために、特に入院中にADLが下がることがないように、病棟への療法士の配置も提案していると述べた。

 一方で、廃用症候群については、京都も含めて全国的に審査が厳しくなされてきており、医療機関と審査委員会との間で、「外科手術又は肺炎等」と規定されている原疾患の範囲について解釈に相違が見られることがある。一般的には「外科手術又は肺炎等」との規定は急性期疾患を想定していると考えられていることから、要望では廃用の原因を問わず廃用症候群の算定を認めることを提案したが、「外科手術又は肺炎等」の「等」で原疾患を限定していないのが一般的な解釈で、その中に疾患別リハビリテーションを算定すべき患者がいる可能性があるので、状況を把握してきたいとのことであった。また、廃用症候群の点数引き下げが考えられているか聞いたが、そこまでの議論はされていないとのことであった。

外来リハ診療料見直しには慎重

 外来リハビリテーション診療料は前回改定で創設された。定められた期間において医師の診察を必要とせず疾患別リハビリテーションを実施できる管理料だが、中医協には現時点で論点としては上げていない。2年ですぐに見直すということは慎重に考えているとのことであったが、同様の要望はあり引き続き検討するとのことであった。

 その他、医療と介護のリハビリの関連についても介護保険の通所リハビリが経営的に厳しいこと、利用者の要介護度が高く、医療的ケアの必要性も高いこと、そういった状況もあり、リハビリテーションは医療保険で提供すべきではないかということを伝えた。担当官からは医療と介護のリハビリの役割については、厚労省の従来の考え方を示した上で、私見としながらも、リハビリの定義について今一度検討が必要なことについては、一致をした。

 最後に、垣田理事長より、リハビリは人の手で直接行う本当に大切な医療。ぜひ大事にしていただきたいと伝えて終了した。

次回改定に向けたリハビリテーション点数に関する要望

(要約)

1.要介護者に対する維持期リハビリの点数を12年改定前に戻すとともに、14年4月1日以降も算定を認めること

2.廃用症候群のリハビリの評価を引き上げるとともに、「外科手術又は肺炎等の治療時の安静による」との規定をなくし、すべての廃用症候群で算定できるようにすること。また、「廃用症候群に係る評価表」は廃止すること。さらに、廃用症候群を予防するための介入ができるようにすること

3.外来リハビリ診療料の点数を引き上げるとともに、カンファレンスの実施要件を緩和すること

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