リハセン病院廃止問題が山場 京都市に第2次市民署名を提出
患者・家族の苦悩と怒りを当局はどう受け止めるのか!
協会が事務局を担う「京都のリハビリを考える会」は1月27日、京都市身体障害者リハビリテーションセンター附属病院(以下、市リハセン附属病院)廃止方針の撤回と公的リハビリ機能の拡充を求め、京都市当局への第2次市民署名提出行動に取り組んだ。今回提出した署名は個人署名2145筆と団体署名4団体。13年10月の第1次提出とあわせ、4977筆・30団体の署名数となった。同時に、京都市長宛の「質問書」を提出し、市の回答を求めた。
市の見解求め懇談も
冒頭、協会の垣田理事長があいさつし、市リハセンをめぐる問題は市民の問題であると同時に、地域の医師の問題でもある。現在の京都市の方針に対し、医療者・市民の間に疑問と不安が深まり、広がっている。患者さんの意見を聴き、善処するよう求めた。
続いて、市に対し下記の点を質した。
1、「障害者の権利に関する条約」の批准・発効にあたり、今後国・地方自治体をあげた施策推進が図られようとしているにもかかわらず、なぜ京都市は逆行するのか。
2、医療・保健・福祉施策に対する地方自治体と公的医療機関の責務をどう考えているのか。
3、附属病院を廃止した場合、入院・外来とも、市内どこの民間医療機関が担うと想定しているのか。医療機関名で答えよ。
4、病院機能をなくした際、専門性・質をどう担保するか。病院機能を伴わない施設で対応可能な高次脳機能障害の患者は京都市内にどれほどいるのか。
5、そもそもなぜ、附属病院を廃止するのか。
6、基本方針で示した市リハセンの将来像具体化の方策とタイムテーブルは。
質問書に対し、市当局は病院廃止=機能縮小と必ずしも考えておらず、むしろ市民のリハビリテーション機会を増やすことにつながる。保健医療・福祉への自治体の責務が重いことは認めつつも、市リハセン附属病院の役割は低下しており、より必要な施策に財源と人材を振り向けると回答。病院廃止後の受け皿は、入院患者は市リハセン附属病院同様の「障害者施設等入院基本料」を算定し、リハビリ施設基準届け出の医療機関に、外来は神経内科・整形外科等の医療機関に担ってもらうとし、患者個々の状態によって受入れ先は変わるので、この場で医療機関を固有名詞で答えることはできないとした。廃止後の施策展開に向けて、3障害一体の相談・支援にかかわって、市立こころの健康増進センターの精神保健福祉センター、児童福祉センターの知的障害者更生相談所等の具体的名称もあげ、ハード・ソフトの両面にわたっての総合的な検討が必要であり、今、具体的なタイムテーブルが定まっているわけではないとした。
あわせて、会場からの「今、入院・外来患者数が減少しているのか」との質問に対し、減少を認めつつ、その理由は不明とした。これに対し、考える会は、条例改正案可決で初めて病院廃止が決まる。少なくともそれまでは積極的に患者を受け入れよと要望した。
市当局の回答に参加者から怒りの声
回答を受け、参加した患者や家族・職員OBからは、不十分な回答だと怒りを露わに、「市リハセン附属病院の役割の低下を患者数低迷の面からだけ説明しているが、患者は市リハセン附属病院でしか受けられないからこそ、外来に通い続け、生活を維持している」「結局市は、病院廃止後はすべて家族で何とかしろと言うのか」と相次いで訴えた。それでも市リハセン附属病院廃止方針を翻さない当局に対し、垣田理事長は懇談の締めくくりに「市の回答では患者さんやご家族が納得できるはずがない。もう一度、発言をかみしめて考え直すべきだ」と求めた。
協会は、市リハセン附属病院廃止を盛り込んだ条例改正案提出を阻止すべく、引き続き考える会の各団体と共同した行動を展開していく。