リハセン機能縮小ありきでない議論を 市のリハビリ行政に緊急要望
京都市がリハビリテーション行政のあり方を見直すべく、市社会福祉審議会に組織した専門分科会での検討を進めている。京都新聞が「京都市・リハビリ業務縮小へ」なる記事を掲載(2012年10月30日)し、病院運営や障害者支援施設の民間移管など、「公と民の役割を再検討」する方針と報道。市もそれを明確に否定しないまま、事態が推移している。市のリハビリテーション行政の在り方検討専門分科会はすでに4回開催され、市が提示した地域リハの推進、年齢・障害を超えた一体的な施策の推進、新たなニーズへの対応、リハビリテーション医療のあり方といった論点に沿った議論がなされている。
この事態を受け、協会は3月1日、「京都市のリハビリテーション行政に対する意見書」を京都市長宛に提出した。
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協会意見書は、先の新聞報道以降の分科会における市当局の発言等から、事実上、今回の見直しは、京都市身体障害者リハビリテーションセンターの機能縮小と不可分に進んでいる。一方で分科会の議論は、むしろリハセンの役割が今こそ重要であることを明らかにしていると指摘した。
その上で、市の機能縮小方針の三つの問題点を指摘。(1)見直しは行財政改革のライン上で提案されており、市民の生命や健康にかかる公的資源のあり方を公費支出抑制の側面から論じていること、(2)市が市民の医療・福祉保障について将来ビジョンを持っていないこと、(3)実際に今、リハセンが果たしており、今後も拡充すべき役割を正当に評価していないことを厳しく追及。
それらを踏まえ、5点の緊急要望事項を掲げた。
1、京都市は、リハビリテーションの在り方検討専門分科会の議論の前提として、10月30日付京都新聞の報道内容は現時点での市の方針ではないことを明確にすること。
2、京都市は、現在の入院患者さんがどのような経緯・経路でリハセンに入院することとなったかを検証し、分科会の場で明らかにすること。
3、京都市は、機能縮小を検討する前に、現在の外来・入院・入所患者さんに対するリハビリテーションを、他の民間医療機関・施設が担い得るのかを調査・検証すること。
4、京都市は、13年4月1日以降も、リハセンの医師確保に責任を持つこと。
5、京都市は、リハビリテーションの在り方検討専門分科会委員に、リハセンで働く専門職と実際に利用している患者さんやその家族を加えること。
協会は、引き続き、従来以上に市当局の責任を厳しく追及する方針である。